外科矯正が知りたい

外科矯正治療と矯正治療のボーダーライン症例から利点と欠点を考える

みなさまおはようございます。東京のプロ矯正歯科院長 田中憲男です。

いつも天気の話からはじまってしまい大変恐縮ですが、今朝は一段と冷え込んだ朝でしたね~
とうとう、私は本日から冬のコートを着てしまいました。もう外見の格好は真冬と同じです。違いはヒートテックの有無とインナーの着込む枚数といったところでしょうか?先月から引いている風邪もなかなか完治せずに4週間目に突入してしまいました。
健康の大切さを痛感している今日この頃です。

さて、プロ矯正歯科の外来のほうは相変わらず忙しい毎日です。特に11月中の土曜と夕方の診療は予約するのが難しくなってきました。大変申し訳ありませんが、初診の患者さんも再診の患者さんも予約変更の場合は12月以降の診療となりますので、御了承ください。

さて、本日のテーマは

外科矯正治療と矯正治療のボーダーライン症例から利点と欠点を考える

ボーダーラインを広辞苑でひいてみると→ 境界線。物事の境のあたり。「合否の―にある」
と記載しておりました。つまりは入試の合格、不合格判定などといった場合に使用されるのが主ということです。

矯正歯科の場合、外科矯正と一般矯正のボーダーライン症例のお話です。
従来の考え方では外科矯正は一般矯正で治療不可能な症例に限っての最後の手段的な要素が大きかったです。
ですので、ボーダーラインといった表現が使用されてきたのですが、実際は明確な線引きができません。

なぜなら、治療というのは目標を妥協するといった方法も可能だからです。
表現を変えてしまえば、患者さんが満足すれば結果的に専門医からみてお粗末な治療結果であっても、治療は成功したと言えるのです。

つまり、治療の選択枝は患者さんにあるのですから、それは当然の結果です。

ここで重要なことがあるのですが、患者さんは素人ですのでこちらが与えることができる治療結果に満足してくれない可能性もございます。ましてや、その結果が患者さんのイメージすることと異なることもございます。

ですので、私の場合の考えは プロ矯正歯科で治療を希望される患者さんが望んでいる結果は常に100%であり、こちらとしては100%を提供することができる選択肢を提示するといったことを重要視しております。

そんなテーマでの本日の症例です。

本日の症例は 外科矯正でも一般矯正でも治療可能な症例と思います。
結論から申し上げますと、外科矯正治療で治療をすることになった症例です。

それでは初診時の状態です。
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正面からみるとかなりガタガタな歯並びです。

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下の方の歯並びは比較的きれいにならんでいるといえます。

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上の歯並びは前歯が重なっており、センターラインもガタガタしている方向にずれています。

それでは横方向の咬み合わせはどうでしょうか?

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あまり上下の歯がコンタクトしておりません

反対側はどうでしょうか?

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反対側も同様に上下の歯がコンタクトしておりません。

つぎにレントゲン分析です

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正面からみるとやや下顎のズレが見えます。

軸位からみると

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側面からみると

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歯周病の検査ではガタガタしている部分に歯茎の炎症があります。

 

 

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また、下の歯に付着している歯肉が非常に薄いです。

 

 

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歯のサイズを計測してみると非常に歯のサイズが大きいです。

とこのようにいろいろな方面から検査をして治療するのに当たってベストな方法を検討しました。

 

今回は外科矯正がベストとした治療プランでした。

それではなぜ、外科矯正がベストなプランだったのでしょうか?

今回の場合の外科矯正のメリットを箇条書きに列挙すると

1:小臼歯抜歯は上顎の左右ですむ 一般矯正の場合は下の小臼歯抜歯も必要になる
2:特に下の歯肉の変化量が最小限ですむ。 一般矯正の場合は多大なブラックトライアングルが出現する
3:側面部分の咬み合わせが完璧になる
4:治療期間がかなり短縮できる
5:歯周組織に優しい治療が可能
6:下顎の偏位が改善される
7:横からみた上下の骨格がバランス良く改善する
8:健康保険で治療可能

といった感じです

一方で外科矯正のデメリットは
1:入院が必要である 5~7日
2:全身麻酔が必要になる
3:手術後に口があけにくい、神経感覚が麻痺する

といったことです。

人それぞれですが、1~3については時間が解決してくれます。

それでは治療経過です

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はじめは時間のかかる上顎からスタートです。

 

 

 

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6ヶ月程度すすんできて、上の顎のめどが立ってきた後、下の方もスタートしてきました。

 

 

 

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ガタガタな症例ほど、並んでくるのは早いものです。

1年経過しました。そろそろ手術ができる体制になってきました。

 

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上下の並びはほぼOKの状態です。
一方で上下の顎にとって最適な歯並びになっておりますが、咬み合わせの仕上げは手術でおこないます。

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横からみると咬み合わせがよくないのが理解できます。

 

 

 

 

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最終的に顎切除診断をおこないます。

初診時と同じ資料をとります。

 

 

 

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手術後の状態です。

 

 

 

 

 

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口がまだあきにくく、鏡を口にいれることが難しいので横から撮影しました。

 

 

 

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上下の咬み合わせも緊密に咬合しております。

歯肉のダメージも最小限ですみました。

 

 

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初診時の状態です。

 

 

 

 

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きっと本人も満足していただけたからこそ、ブログの掲載も許してくれたのでしょう!

もうすこしでワイヤーもはずれますので、残りの治療もがんばっていきましょう。

それではもう少しで診療開始です。今日もがんばります!

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