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更新日:令和4(2022)年6月2日
ページ番号:7473
落花生は千葉県を代表する特産品の一つで、県内の作付面積は全国の約8割を占めています。また、畑作物・露地野菜経営での輪作体系に組み入れる作物としても重要であり、水田転換畑への導入試験も始まっています。近年は気象の変化が、落花生栽培に少なからず影響を与えており、茎腐病の増加による減収も問題となっています。そのため今回は、品質・収量に影響を及ぼす病害への対策とかん水のポイントについてまとめました。
開花期に中耕・培土を行うと、子房柄が地中に侵入しやすくなります。
元肥に苦土石灰(消石灰)を施用しなかった場合は、中耕・培土の前に10アール当たり40から60キログラム施用し、莢実の充実を促します。
栽培中及び圃場での乾燥中に冠水しないように排水路を整備しましょう。
掘り取り時期の目安は開花期からの日数(「千葉半立」95日、「おおまさり」90日(ゆで莢用「おおまさり」85日)、「ナカテユタカ」・「Qなっつ」80日、「郷の香」75日(ゆで莢用「郷の香」70日))ですが、気温などの影響で年次により早晩の差が生じるので、掘り取り予定日の5から7日前から試し堀りを行って適期を確認します。煎り莢や種子用では、上莢(網目がはっきりしている莢)が8割程度になった頃が適期になります。
莢が肥大する時期に土壌水分が欠乏すると、莢実の発育が阻害され収量も低下し空莢も多くなります。そのためかん水施設のあるところでは、かん水によって増収を図ります。7月中旬から8月上旬は、地中で落花生の莢が肥大する時期になり、かん水することによってむき実歩合が高まり、子実重が高くなります。
1回に30から40ミリメートルをかん水します。
なお、白絹病が発生している場合は、かん水により発生が拡大するので、事前に抜き取ります。
8月上旬が干ばつの年には子実の幼芽が褐変し、生産された種子が発芽不良となる場合があります。幼芽褐変の対策として開花期後40日頃(8月上旬から中旬)に30ミリメートル程度のかん水を行います。
症状:茎の地ぎわ部が腐り、地上部がしおれ、やがて枯死します。枯れて黒褐色となった株の茎表面には多数の小黒点が生じます。
写真1.茎腐病の症状
対策:種子は無病圃場の健全株から採種します。また、土壌伝染性の病害で圃場に菌が残るので、多発圃場では4から5年間作付けないようにします。発病株を見つけたら早めに抜き取り、表土と一緒に圃場外に搬出します。病株は堆肥にしないようにしましょう。
以前は登録農薬がありませんでしたが、近年2つの農薬が適用拡大になりました。発生初期から「トップジンM水和剤」(適用拡大2015年11月)や「ベンレート水和剤」(適用拡大2017年1月)を数回散布します。
症状:地ぎわ部が侵され白い菌糸が密生し、茎葉部が黄変してしおれ、生育不良や枯死に至ります。高温・多湿条件で発生が多くみられます。
写真2.白絹病の症状
対策:被害株は周囲の土壌とともに早めに抜き取り、圃場外に搬出します。土壌伝染性の病害なので、多発圃場は5から6年作付けを避けます。天地返しにより菌核を土中深く埋設するのも有効です。
薬剤防除としては、「フロンサイド粉剤」を10アール当たり20キログラム、株元に散布します。使用時期が収穫45日前までなので注意が必要です。
※農薬を使用する場合はラベルをよく確認し、使用基準を遵守しましょう。
写真出典:落花生栽培の手引(平成30年3月、千葉県、千葉県農林水産技術会議)
初掲載:令和元年5月
印旛農業事務所改良普及課
八街・富里グループ
普及指導員
岸田雅弘
電話:043-483-1124
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