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更新日:令和3(2021)年11月12日
ページ番号:7453
千葉県における落花生収穫後の乾燥方法は地干し・ぼっち(千葉県における落花生野積みの俗称)乾燥が一般的で、この方法でゆっくり乾燥させることで、食味の良い落花生が生産されると言われています。しかし近年乾燥中の降雨によって、莢にカビが発生するなど、品質低下が問題となっています。ここでは雨よけトンネルを活用した、莢にカビが発生しにくく、ぼっち乾燥並の食味を確保するための、乾燥方法をご紹介します。
雨よけトンネルを設置し、その中に地干しした落花生を茎葉部ごと入れて乾燥させる方法です(写真1)。乾燥後はぼっち積みと同様に脱莢して出荷します。落花生の産地である八街市や富里市ではスイカの生産が盛んであり、トンネル用の支柱を所有している生産者が多いことから、トンネル乾燥の普及が進みつつあります。
写真1.トンネル乾燥の様子
気温が低い状況においても乾燥を進みやすくするために、マルチを敷設します。
積むタイミングと積み方については、後述(3.トンネル乾燥のポイント)のとおりです。
長さが約3メートル、幅が約150センチメートルの支柱を用い、支柱の間隔は60センチメートル程度とします。
新しいビニールと古いビニールで落花生の乾燥速度にほとんど違いはありません。スイカなどの栽培で1作用いた古いビニールを用いることもできます。
風に飛ばされないようにマイカー線でしっかり固定しましょう。裾は常時20センチメートル程度開けた状態で管理しますが、荒天時は閉めましょう。
トンネル乾燥開始後2から3週間程度で子実水分が9パーセント程度まで低下しますので、脱莢を開始します。
収穫後、3から5日を目安に地干しを行い、茎葉部が乾燥した後に、トンネル乾燥を開始します。地干しにより一度乾燥した莢殻が降雨で濡れると、莢にカビが発生するため、莢殻が乾燥したら降雨の前に必ずトンネル乾燥を開始させましょう。降雨がない場合は地干し期間を長めにすることも可能です。
地干しした落花生をそのままトンネル内に並べる平置きと比較して、莢が内側になるように、上下2段で積む重ね積み(図1参照)の方が、緩やかに乾燥するため、食味に優れます。重ね積みは作業性も優れ、設置するトンネルの長さは平置きの約半分で済み、ぼっち乾燥と同等の作業時間です。
図1.トンネル乾燥(重ね積み)の模式図
外気温が低下する10月中旬以降は、トンネル内に結露が発生し、出荷規定の水分値である9パーセントまで子実を乾燥させることが困難になりますので、ぼっち乾燥を推奨します。やむをえずトンネル乾燥を行なう場合は、トンネル内の換気量を増やして結露しにくい環境をつくるとともに、脱莢後も風通しの良い場所で保管することで乾燥に努めましょう。
以上の方法で、トンネル乾燥を実施することによって、ぼっち積み乾燥と同等の品質を得ることができます。トンネル乾燥はぼっち積みのような熟練技術を伴わないため、新たに落花生栽培を始める方、雇用を導入している生産者にとっては特に有効な手段として活用が期待されます。
初掲載:平成30年9月
農林総合研究センター
最重点プロジェクト研究室
研究員 黒田幸浩
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