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更新日:令和6(2024)年9月25日
ページ番号:4643
千葉県感染症情報センターとは、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」による施策として位置づけられた感染症発生動向調査により得られた情報を集計・分析するとともに、情報提供・開示するため、千葉県衛生研究所に設置されています。
週報/月報/新型コロナウイルス感染症/梅毒/腸管出血性大腸菌感染症/インフルエンザ/感染性胃腸炎/麻しん/風しん/リンク
2024年第38週(2024年9月16日~2024年9月22日)(PDF:876.1KB)
2024年9月16日から2024年9月22日までの期間(2024年第38週)の千葉県結核・感染症週報を掲載しています。
※過去の注目疾患:2015年、2016年、2017年、2018年、2019年、2020年、2021年、2022年、2023年、2024年
※過去の週報:2012年~2016年週報、2017年週報、2018年週報、2019年週報、2020年週報、2021年週報、2022年週報、
2024年は第38週までにあった県内医療機関からの届出数は、つつが虫病が計17例、日本紅斑熱が計24例であった。ダニ媒介感染症である両疾患の届出数は近年増加傾向にある(図1)。
県内では例年、つつが虫病は11月頃から翌1月頃にかけて、日本紅斑熱は5月頃から11月頃にかけて、届出数が増加する傾向にある(図2)。
図1:県内のつつが虫病と日本紅斑熱の2015年~2024年の診断年別届出数(2024年第38週時点)
図2:県内のつつが虫病と日本紅斑熱の2015年~2024年の診断月別届出数(2024年第38週時点)
2015年第1週~2024年第38週に県内医療機関からあった届出数は、つつが虫病が計491例、日本紅斑熱が計132例であり、その概要は以下のとおり。
〇つつが虫病
患者の年齢は、中央値71歳(範囲6~95歳)で60代以上が119例(90.2%)であった。
症状・所見(重複あり)は、発熱93.7%(460例/491例)、発疹91.2%(448例/491例)、刺し口83.3%(409例/491例)、頭痛28.5%(140例/491例)、リンパ節腫脹18.1%(89例/491例)、肺炎1.0%(5例/491例)、脳炎0.2%(1例/491例)、その他15.3%(75例/491例)であった。
〇日本紅斑熱
患者の年齢は、中央値74歳(範囲17~96歳)で60代以上が385例(78.4%)であった。
症状・所見(重複あり)は、発熱98.5%(130例/132例)、発疹93.2%(123例/132例)、刺し口78.0%(103例/132例)、肝機能異常72.7%(96例/132例)、頭痛25.8%(34例/132例)、播種性血管内凝固症候群(DIC)12.9%(17例/132例)、その他24.2%(32例/132例)であった。
つつが虫病の病原体は Orientia tsutsugamushiと呼ばれるリケッチアで、ダニ類の一種であるツツガムシが媒介する。わが国で本菌を媒介するツツガムシは主に3種類であり、それぞれのツツガムシの0.1~3%が菌をもつ有毒ツツガムシである。ヒトはこの有毒ツツガムシに吸着されると菌に感染する。潜伏期間は5~14日で、典型的な症例では高熱を伴って発症し、皮膚には特徴的なツツガムシの刺し口(黒色痂疲)がみられ、その後数日で体幹部を中心に発疹がみられるようになる。また、患者の多くは倦怠感、頭痛を訴え、患者の半数には刺し口近傍の所属リンパ節、あるいは全身のリンパ節の腫脹がみられる1)。
日本紅斑熱は紅斑熱群リケッチアの一種Rickettsia japonicaを起因病原体とし、病原体を持つマダニに刺咬されることにより感染する。全てのマダニがリケッチアをもつわけではなく、リケッチアを持つマダニに刺咬されたときだけ感染する。潜伏期間は2~8日で、つつが虫病と比べてやや短い。つつが虫病との臨床的な鑑別は困難であるが、発疹は体幹部より四肢末端部に比較的強く出現すること、つつが虫病に比べ刺し口の中心の痂皮部分が小さいなどの特徴があり、刺し口が確認される頻度はやや低い1)。
両疾患とも臨床症状が似ており、発熱、倦怠感、頭痛、悪寒などの非特異的症状を主訴に受診することが多い。両疾患の臨床的特徴は「(1)発熱、(2)皮疹、(3)刺し口」のいわゆる3徴が共通している。しかし、患者が必ずしも受診時に発熱を認めるとは限らず、また、患者が皮疹や刺し口の存在を自覚したり、自ら医師に伝える頻度は低いため、注意を要すると報告されている2)。ともに有効な抗菌薬(第一選択薬はテトラサイクリン系)があるが、死亡例が報告されているため、適切な診断・治療が重要である1)。
両疾患を予防するワクチンはないため、ダニの刺咬を防ぐことが極めて重要となる。キャンプやハイキング、農作業や草刈り等で山林や草むら等に立ち入る際には、(1)半ズボンやサンダル履きなどの軽装は避け、長袖長ズボンなど肌の露出が少ない服装にする、(2)忌避剤(防虫スプレー)を使用する、(3)地面に直接座らずにレジャーシート等の敷物を使用する、(4)帰宅後はすぐに着替え、洗濯する、(5)帰宅後はすぐに入浴し、体にダニが付いていないか確認する、などの対策をとる。また、刺咬された場合には、無理に引き抜くとダニの一部が皮膚に残ってしまうことがあるので、医療機関を受診して除去してもらうことが推奨される1, 3-5)。
■参考・引用
1)IDWR 注目すべき感染症 ダニ媒介感染症 つつが虫病・日本紅斑熱
3)千葉県衛生研究所:つつが虫病に注意!(PDF:325.9KB)
4)千葉県衛生研究所:マダニ被害に遭わないために!(PDF:335.1KB)
【Topics】
≪海外へ渡航される皆様・海外から帰国された皆様へ≫
海外においては、国内では見られない感染症が流行していることがあり、海外滞在中に感染する可能性があります。海外へ渡航する際には、事前に渡航先における感染症の流行状況、現地滞在中の注意点、海外渡航に際し推奨されている予防接種をご確認ください。
また、感染症には、潜伏期間(感染してから発症するまでの期間)が数日から1週間以上と長いものもあり、渡航中や帰国直後に症状がなくても、しばらくしてから具合が悪くなる場合があります。その場合は、医療機関に事前に電話連絡して海外渡航歴があることを伝えた上で受診し、渡航先、滞在期間、現地での飲食状況、渡航先での活動内容、動物との接触の有無、ワクチン接種歴等についてお伝えください1)。
その他詳細は下記をご参照ください。
■参考・引用
2)【感染症エクスプレス@厚労省】Vol.518(2024年8月4日)
RSウイルス感染症、咽頭結膜熱、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、感染性胃腸炎、水痘、手足口病、伝染性紅斑、突発性発しん、ヘルパンギーナ、流行性耳下腺炎、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、急性出血性結膜炎、流行性角結膜炎の5週間分の保健所別の定点当たり報告数のグラフを掲載しています。
2024年8月の千葉県結核・感染症月報(2024年36週週報)を掲載しています。
2024年38週の県全体の定点当たり報告数は、前週(7.67*)から減少し、6.50であった。*前週報告時点では7.75
2024年38週までの県内の新型コロナウイルス感染症の発生状況について掲載しています。過去の発生状況については以下に掲載しています。
県衛生研究所は、国立感染症研究所と協働で、県健康福祉センター(保健所)(千葉市・船橋市・柏市除く)等から収集した検体について新型コロナウイルスのゲノム解析を行い、ウイルスの変異状況を調べています。
その状況についてお知らせします。
保健所への報告は、報告様式1(小児科定点・インフルエンザ/COVID-19定点用)又は報告様式2(インフルエンザ/COVID-19定点用)をお使いください。なお、集計様式2は、保健所への送付は不要です。
オンライン報告を希望される場合、ちば電子申請サービスから手続きをお願いします(県庁疾病対策課ホームページへ)
千葉県では2024年38週に7例届出があり、累計は327例となった。
昨年2023年は1999年の現行感染症サーベイランス開始以降最多となる473例の届出があり、注意が必要です。
2024年38週までの県内の梅毒発生状況について掲載しています。2021年から2023年の過去の発生状況については以下に掲載しています。
千葉県では2024年38週に4例届出があり、累計は126例となった。
2024年38週までの県内の腸管出血性大腸菌感染症発生状況について掲載しています。2010年から2023年の過去の発生状況については以下に掲載しています。
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2023年1~52週)(PDF:381.4KB)
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2022年1~52週)(PDF:249.1KB)
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2021年1~52週)(PDF:270.2KB)
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2020年1~53週)(PDF:250.6KB)
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2019年1~52週)(PDF:240KB)
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2018年1~52週)(PDF:242KB)
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2017年1~52週)(PDF:254KB)
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2016年1~52週)(PDF:145KB)
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2015年1~53週)(PDF:233KB)
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2010年~2014年)(PDF:224KB)
- 全国の発生状況(国立感染症研究所)
2024年38週の県全体の定点当たり報告数は、前週(0.56*)から増加し、0.63であった。*前週報告時点では0.55
2024/25シーズンの県内のインフルエンザ発生状況について掲載しています。2015/16シーズンから2023/24シーズンの過去の発生状況については以下に掲載しています。
※県内の迅速診断の結果がとりまとめられています。
2024年38週の県全体の定点当たり報告数は、前週(4.01*)から減少し、3.16であった。*前週報告時点では4.03人
2024/25シーズンの県内の感染性胃腸炎の発生状況について掲載しています。2016/17シーズンから2023/24シーズンの過去の発生状況については以下に掲載しています。
千葉県では、2024年38週に届出はなかった(2024年9月25日現在)。2024年の累計は0例である。
2024年38週までの県内の麻しんの発生状況について掲載しています。2008年から2023年の過去の発生状況については以下に掲載しています。
国内で麻しん(はしか)の感染事例が報告されています。麻しんは感染力が強く、空気感染もするので、手洗い、マスクのみで予防はできません。麻しんの罹患歴がなく、2回の予防接種歴が明らかでない場合は予防接種をご検討ください。
また、発疹、発熱などの麻しんのような症状がある場合は、麻しんの疑いがあることを事前にかかりつけ医または医療機関に電話等で伝え、受診の要否や注意点を確認してください。医療機関へ移動される際は周囲の方への感染を防ぐためにもマスクを着用し、公共交通機関の利用は可能な限り避けてください。詳細については、下記ホームページをご参照ください。
千葉県では、2024年38週に届出はなかった(2024年9月25日現在)。2024年の累計は0例である。
2024年38週までの県内の風しんの発生状況について掲載しています。2008年から2023年の過去の発生状況については以下に掲載しています。
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