第32回学術集会 ダイバーシティ推進委員会企画報告
「Caféコーナー」
1.Caféコーナーについて
今回は初の取り組みとして、「Caféコーナー」を企画しました。2日目と3日目にポスター会場で集まり、テーマに沿ってフリートークを行う形式です。参加者は予め申し込み制(当日飛び入り参加も大歓迎)で委員会委員がファシリテーターを務めました。当初テーマを1日目「色々聞きたいキャリアプラン1~家庭と仕事の両立~」「働き方改革でどう変わる?」、2日目「色々聞きたいキャリアプラン2~国内・海外の小児リウマチ専門研修~」「Diversity, Equity & Inclusion 進捗に地域差ある?」とし、テーマごとのテーブルで話し合う予定でしたが、両日とも開始時の参加人数が多くなかったため、一つの大きいグループとして円座で会話する形式としました。途中から参加人数も増えて、結果的には大勢で色々な話ができてよかったと思います。特に、若手で知り合いもいない中勇気を出して参加して頂いた方には、参考になったのではないでしょうか。1日目に参加された日本小児科学会ダイバーシティ・キャリア形成委員会の先生からも、予定時間を少し超過し、皆様満足な表情でお開きとなりました。トーク内容と企画後のアンケートか結果をまとめた結果をご紹介いたします。
2.1日目
10月14日 土曜日15時から16時
テーマ:色々聞きたいキャリアプラン 家庭と仕事の両立
ファシリテーター(敬称略):稲毛、岡本、篠木、中野、楢崎、山﨑 計6名
参加人数:9名+ファシリテーター 計15名
1) 小児リウマチの研修制度や勉強機会について:
それぞれの地域で小児リウマチの勉強会のようなものはあるものの、地域差はあるというのが参加者の共通認識であった。
これまでは、お子さんがいるとなかなか勉強にもいけない状況であった。
子育て中の学会参加について、オンライン、webでのオンデマンドはありがたく、コロナ禍の影響でweb開催が増えて子育て中であっても勉強の機会が増えた。今後もweb、もしくはハイブリッド開催が続くといいと考えている参加者が多かった。また、Web勉強会の情報があると良いという意見もあった。
さらに学会では託児システムを利用するという意見もあったが、託児所は保育園と違い初めての場所にお子さんを預けにくいというご意見もあった。
2) コンサルト:
相談できるシステムがあるといい。本格的なコンサルトではなく、少しだけ、簡単に相談できるシステムがあるといい。例えばメーリングリスト、Facebookのgroupを作るなどはどうか。アイデアを出して理事会で検討していただくといいかもしれない。
3) 成人科(内科)との協力、連携体制:
地域では小児リウマチを一人で診療している不安感もあるため、移行期医療も考慮した内科診療とのすり合わせ、内科のカンファレンスや抄読会に参加するなどの連携体制と整えている施設もあり参考になった。
3.2日目
10月15日 日曜日9時30分から10時30分
テーマ:Diversity, Equity, & Inclusion 進捗に地域差ある?
ファシリテーター(敬称略):岸、金城、佐藤、橋本、八代 計5名
参加人数 18名+ファシリテーター 計23名
1) どうやって小児リウマチに若手をリクルートしていくか:
小児リウマチ医だけを育てていく、小児リウマチのみを診療していくことは困難。
地域では、関連病院の人員、他の専門グループとの兼ね合いの中、少ない人数で診療する必要がある。また、小児リウマチだけでは、患者数も限られるため、リクルートする上で若手の興味を引くことが困難。どうやって面白いと思ってもらうかが課題である。
都市部では、他施設との競合があり、入院患者が限られると、若手の興味を引いてリクルートに繋げにくいため、外来診療から入院診療の機会を増やしたり、外来診療に若手をつけて興味を持ってもらったりなどを考える必要がある。
感染、免疫、アレルギー、消化器、肝臓、腎などのグループと協力、他の疾患を診ているなかで、その中からリウマチの面白さを伝えていく。特にアレルギーや感染症を選ぶ若手、アレルギーをやりたくてグループに入ってきた若手に一緒に診療する中で小児リウマチの面白さを伝えていく。全グループでの回診、症例検討会を行なっている施設では、その中で声を出して面白さを伝えていく。一般小児にも役立つ知識はあるし、免疫学は難しいと感じる若手もいるが、「わからないことがある」という面白さを伝えていくと良いのでは。一緒に考えられる人がいるといいし、自分が楽しく診療している姿を見せるようにしているという意見もあった。
2) 地域での小児リウマチ診療の課題:
小児リウマチを専門とした医師がいない地域では、診療が不安だったりする。専門医の少ない地域で、自分で診療するしかないなか、どう診療していくかという課題がある。都会では自分で診療しなくても誰かが診てくれる環境である。
成長する上で、育てる上では、自分で患者を診療するということが大事になる。ガイドライン診断基準で治療を進めていくのではなく、患者をよくみて診療していくということを伝えていく。学会に参加して専門の医師の意見を聞く。また、専門医にコンサルトしても良いし、専門の医師にコンサルトしても嫌がられることはほとんどない。
自分だけでなく、関連病院などにも声をかけて、診療連携施設を増やして診療できる施設を増やしていく。内科医に小児リウマチも診ていただけるように協力をお願いしたり、内科と一緒に回診することで知識を増やしていくという意見があった。
参加後アンケート結果
設問の前の▶をクリックすることで回答がご覧になれます。
1.今学会のダイバーシティ推進委員会カフェ企画について感想を教えてください
- 小児リウマチの領域は先進的な取り組みがあって羨ましいです。
- えらい先生方がたくさんで緊張しましたが、皆さんとても面白かったです。もう少し参加しやすい環境があれば良かったかと考えます。
- 各施設毎に医師の過不足の差がわかり、先生方とお話しできて有意義な時間を過ごす事ができ有難うございました。
- 思ったよりも盛り上がってよかったと思う。
- 各施設で異なる問題や共通の問題など、色々と聞けて興味深かった。
2.ダイバーシティを推進するために、所属組織で具体的な戦略があれば教えてください
- できるだけ早い段階でメンターをつける。臨床でも、家庭との両立でも相談できる人を見つけてもらう。
- 医局内では一対一でメンター制度をしている
- 小児リウマチに従事する人材のリクルートを重要事項として取り上げてほしい。医師だけでなくコメディカルも。
- 現時点では特にありません。
- 院内保育園の設立
- 余り意識はしていないが、出来るだけ自主性を重んじるようにしている。
3.ダイバーシティ推進の成功事例があれば教えてください
4.ダイバーシティを効果的に推進するために必要な資質、スキルや心がけなどはありますか?
- 一人で悩ませない、ということは気にしていますが、あまり年のはなれた人間が相手をしても、相談しにくいのかなと思っています
- わかりませんが 試行錯誤を厭わない粘り強さでしょうか
- 診療を楽しく充実した様子を見て後身を育成する姿勢が重要だと他の先生の意見を聞いて思いました。
- 不公平感をあまり強く持ってしまうと、かえってうまく行かないのではと思います。
- 立場の上下に関係なく、一人の意見は同じ重みを持つという意識を大切にしている(誰の意見かではなく、内容によってのみ判断するという事です)。
5.今後、日本小児リウマチ学会のダイバーシティ推進委員会にどんなことを期待しますか?
- 先進的な取り組みも多いので、ぜひ内容を公開してほしい
- オンデマンドで講演・演題が観られる形を継続してもらえるとありがたいです。出張が出来ない子どもが小さい時期も参加し続けられるのは、モチベーションの維持やキャリアアップに役立ちます。地方からハイボリュームセンターに短期留学(1-2週)の制度などがあればよい。
- 学会として学会員 小児リウマチ診療に従事する人材をどのように増やすか 検討してほしい。
- 地域格差を埋めるには、横の連携が必要だと感じたので、お互いの顔がわかる場の提供を継続していただければ幸いです。
- 地域格差の解消
- 今のまま、色々話し合える機会を作って頂ければ良いと思います。
6.来年度の学術集会でのダイバーシティ推進委員会でテーマのご希望はありますか?
7.来年度の学術集会でのダイバーシティ推進委員会企画の開催形式のご希望があれば教えてください
8.その他 自由にご意見などご記載ください
ダイバーシティ推進委員会メンバー(敬称略、順不同)
委員長 | 岡本奈美 | 副委員長 | 山崎和子 | 顧問 | 稲毛康司 |
委員(理事) | | 岸 崇之 | | 今中啓之 |
| | 金城紀子 | | 楢崎秀彦 |
| | 坂東由紀 | | 中野直子 |
委員(会員) | | 佐藤知実 | | 八代将登 |
| | 篠木敏彦 | | 橋本邦生 |