脳卒中

救急隊が到着するまでの間に行うことができる救急・応急手当をご紹介します。

概要

脳は、人間の身体各部機能や、生命維持を司る重要な器官です。一部でも脳の機能が損なわれると、損なわれた箇所・範囲に対応する身体各部が機能しなくなります。脳はまた、正常に機能するために多量の血液(血液によって運ばれる酸素や栄養素)を必要とします。

脳卒中は

脳の中、または脳の近くの血管が突然破れたり、血管の中に血液のかたまりができ、脳の血液循環が悪くなることによって起こります。

最も多く起こるのは、動脈硬化によって狭くなった脳の動脈の一部に血の固まり(脳血栓)ができ、そこから先へ血液が流れなくなり、その部分の脳が活動できなくなってしまう「脳梗塞」です。

また「脳出血」は、高血圧などのため、脳の血管が破れて脳の中や表面に出血が起こるものです。特に脳の表面で血管が破れて出血が広がるものを「くも膜下出血」といいます。くも膜下出血の原因の多くは、瘤(こぶ)状に膨らんだ脳の動脈(頸動脈瘤)の一部が破れて出血することです。

脳卒中を予防するには

脳卒中は、「がん」「心臓病」とあわせて、日本における三大死亡原因(三大疾病)とされており、毎年11万人もが生命を失っている病気です。この恐ろしい病気の予防には、日頃から節制に努めるなど生活習慣を見直すことはもちろん、定期的に健診(健康診断・人間ドックなど)を受け、原因となる動脈硬化や高血圧を抑える必要があります。

症状

  • 突然のしびれや脱力
    (体の半身の手足が動きにくくなったりしびれたり、手足の力が弱くなったりする)
  • 突然の混乱、会話不能
    (うまく口がきけなくなったり、言葉が理解できなくなったりすることがある)
  • 突然の歩行困難、めまい、平衡失調
    (歩く足がもつれたり、立っていられなくなったりする)
  • 突然の激しい頭痛
    (くも膜下出血では、激しい頭痛や後頭部をバットで殴られたような激痛とともに、嘔吐をともなうことがある)
  • 急激な意識障害を起こし、意識がもうろうとしたり意識不明となる
  • 呼吸が不規則になったり、重症では呼吸が停止する
  • 顔色は赤くなる場合、青くなる場合がある
  • 脈拍は強く、ゆっくりと打つ
  • 瞳孔の大きさが左右で異なる場合がある
  • 眼球の動きが異常になり、両眼が一方に寄ったり、片側が外を向いたりする

手当

  • 直ちに119番通報をする
  • 急激な意識障害を起こし倒れて体を強く打つことが多いので、全身、特に頭を打っていないか調べる
  • 心身ともに安静にする
  • ネクタイ、ベルトなどを緩め、楽に呼吸ができるようにする
  • 水平に寝かせ、毛布などで保温する。顔が紅潮しているときは、上半身をやや高くする
  • 嘔吐があるときは、吐いたものが誤って気管に吸い込まれないよう、横向きに寝かせる
  • 意識障害があるときは、一次救命処置(心肺蘇生法、AEDの利用など)の手順に従う
  • 倒れた場所が浴室やトイレ、戸外などの場合
    *数人の手を借りて、近くで安静を保てる場所に静かに移す
    *その際、頭部と胴体を水平に保つ
    *特に頭が動揺しないように注意する