4月27日からスタートする「GUITARHYTHM V TOUR」のミーティング。
久しぶりに「布袋組」の面々がオフィスに集結しました。
黒澤明監督率いる「黒沢組」、阪本順治監督率いる「阪本組」、映画の世界では総監督のもと集ったクリエーターたちの集合を「組」という言い方で表すことがあります。
一つの作品をそれぞれ違う役割を担う個々が志を共にし、同じ目的意識、美意識、を持って作品の完成まで魂を共有する。
そんな意味合いを含んだこの「組」という言い回しが、俺は好きです。
男っぽい。
自分のコンサートはもちろん「布袋寅泰」が主役ではありますが、ステージから観客に向けて声高々に言い放ちたいのは、自分がどんなにカッコいいかなどというエゴイスティクなものでは決してありません。
バンドの音や意思をいかに細やかに、そしてダイレクトに増幅させるかという役割のサウンド・エンジニアたちや、光によって音楽にシルエットを与え、ビートを色で染め、時間をヒートアップしてゆく魔法使いのような照明班。
全ての楽器を常に最高の状態に保ち、ミュージシャン達の瞬発的な表現を支えるローディーたち。
舞台上の俺たちを最高の気分でいさせてくれる為に細やかな努力を惜しまないワードローブ担当の者や、ヘアメイク・アーチスト。
そして全ての機材を乗せた大型トラックを徹夜で運転してくれるドライバーたち、各会場で開演前、終演後の楽屋を快適に整えてくれるケータリング・スタッフたち。
高い所にのぼって危険な作業を担うトビさんたちや、ファンの皆さんの思い出に残るようにと、何度も試行錯誤を重ねた末出来上がったツアーグッズ販売をしてくれる物販スタッフ、現地の照明さんやアルバイトの方々、警備員、etc...その他大勢の人間が,誇りを持って創りあげるステージのパワーこそ、自分が表現したいもの。
それは信頼関係なくして成り立たないものです。
長年の間、時に入れ替わりはあろうとも、「布袋寅泰の音楽」に惚れてくれた、そしてそれを信じてくれた上で惜しげもなく全ての想像力をぶつけてくれた、かけがえのないスタッフたち。
そう、ファンと同じく、「布袋組」は俺の誇りであります。
第一回目のミーティングは、今回のツアーに向けた俺の心模様、メッセージ、冒険心や探究心、遊び心、断片的なイメージの羅列等、抽象的で感覚的なアイデアを聞いてもらい、感性のチューニングを合わせるとことから始まりました。
ギタリズムのステージはどこか非現実的(幻想的)であるべきで、宇宙や絵画や映画や物語など、空間に絵を描くように、ステージを彩りたいと思っています。
ピンク・フロイドやシルク・ド・ソレイユのような光と同時に陰を背負ったエンターテイメントは、我々の道しるべでもあります。
スタジアムバンドがやるような、お祭り騒ぎ的な、ロックショウという名のひな形にのったような、万人を頷かせる為のアプローチは我々の目的とは全く異なります。
奇妙で奇抜で寒気立つ、しかし儚くもロマンチックで美しい....。
最後にどこからともなく必ずヒーローが助けにきてくれるようなエンディングなど御法度です。
今回は(も?)いかにシンプルで機能的、そして華やかに毒々しいものを作り上げられるか!?
和やかな会話の中にも鋭く光るセンス比べ。
とても意義のある、頼もしい「布袋組」との再会でした。
芸術こそ我が命。
創造こそわが人生。
血流が速度を増し、クリエイティブ・スイッチが久しぶりにONになった感じ。
(今日の偶然:ディナーを終え振り返ったらクロームハーツのボス、リチャードがそこに!以前偶然お会いした時と同じレストランの同じ席でした。
リチャードいわく「ちょうど今お前の話をしていたところだったんだよ!」。俺の片手には長年愛用させて頂いているクロームハーツのバッグ。
二人でにっこり、またの再会を誓いました。)