CHARさんとブライアン、そして俺の3人の競演『SUPER SOUL SESSIONS』以来の再会になる。
客席で彼のライブを観るのも久しぶりだ。
今回はブライアン・セッツァー・オーケストラでの来日。
相変わらずの華麗でクールな指さばき。
惚れ惚れする。
美しいグレッチを何本か持ち替え、ストレイキャッツ時代の曲も織り交ぜて、2時間たっぷり聴かせる。
バンドの演奏やムードも素晴らしいが、お客さんも素晴らしい!
懐かしのリーゼント、50'Sスタイルでキメたカップルの姿も見える。
腰を揺らし、かかとでビートを刻んで、時に腕を振り上げて、ブライアンの一挙一動、一音一BEATを見逃すまい、聞き逃すまいと、真剣な眼差しを向けながらもその表情は皆眩しい笑顔だ。
終演後、一緒に行ったTOKIEちゃんと楽屋へ。
廊下ですれ違うブラスセクションの面々とも「久しぶり!元気だったか?」と声を掛け合える仲となった。
そして階段を上る、懐かしいあの笑い声が聞こえてくる。
「WOW!!! ホーテーイー!!!」
ビールを片手に手を振るブライアン。
笑顔が溶け合う。
セッツァー・オーケストラを観るたびに、俺は彼と初めて逢った日の事を思い出す。
それは1996年のこと。
『King & Queen』というアルバムのレコーディングに彼をゲストギタリストとして招いた。
有明にまだ東京ビッグサイトもフジテレビもなかった頃のIRc2スタジオでレコーディングが行われた。
彼は単身でアメリカからギターを担いでやってきた。
『RUNAWAY! JOHNNY!!!』と『Full Moon Party』という2曲でギターを弾いてもらった。
アンプから煙が出そうな弾丸プレイに度肝を抜かれ、スタジオ内に拍手が鳴り響いた。
セッションが終わり彼と話していると、
「実は今、レコード会社との契約がうまくいっていないんだ」
とポツリとブライアン。
「彼らは時代の流れに沿った、モダンなスタイルのR&Rを俺に要求している。しかし俺にはどうやってその『モダンなR&R』とやらを作ればいいのか判らない。ホテイ、君のサウンドはとてもモダンだと思う。俺をプロデュースしてくれないか?」
と言われ、俺は驚いた。
「君には誰にもマネのできない君のスタイルがある。俺が君をプロデュースすることなんで考えられないよ!」
と俺。
「実は今俺の頭の中には別のアイデアがある。ビッグバンドを従えて、ギターのサウンドをブラスで増幅させて、古き良き時代のスウィングとロカビリーをミックスしたみたいな踊れるパーティー・ミュージックを作ってみたいんだ。」
瞳を輝かせてそう言ったあのときのブライアンの笑顔が忘れられない。
そして数年後...。
俺はバケーション中のバリ島で、ブライアンのオーケストラがグラミー賞を受賞したニュースを聞いて泣いた。
やったな!ブライアン!自分を曲げずに、栄光を手にしたんだ!おめでとう!!!
心でそう叫んだ。
しかし彼のR&Rは常にモダンだ。
ヒップホップファンだって踊りだしたくなるそのビート。
チャーミングな笑顔に隠された男気と、ロマンチシズムに俺たちは酔う。
いつだってブライアンは最高!
永遠に俺の憧れのギタリストだ。
皆でホテルで食事をし、バーで葉巻を吸った。
10日振りのアルコールが甘いのは、彼のギターの余韻のせいだ。
思えば葉巻もブライアンに教えてもらった。
今もこうして、ギターとは何か、R&Rとは何かを、教えてもらっている。
いつまでも君について行くよ。
いいだろ?ミスター R&R !!!