BEAT主義日記 the principle of beat hotei official blog

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2008年8月28日

* 「英語で怒るのは難しい」の巻

高松から帰ってきた日の話。

空港から一人タクシーに乗り(荷物はスパイクに持ってきてもらうとして)自宅へ。
玄関の扉を開く前からルーリーの「オォォォォォ〜〜ン!」(訳/淋しかったわぁぁぁぁん!)
との涙の雄叫び(雌叫び?)を聞き、胸がキュンとして靴も脱がずそのまま散歩へ。
今住んでいるエリアは外国人率が非常に高く、休日のマーケットなど日本人の方が少ないくらいなのです。
その日は近所の駐車場の前に外人の悪ガキどもが数十人集まってスケボーの技比べ。
片手の携帯でスパイクと話しながらルーリーのリードをひいて横切ろうとすると(ルーリードね)
悪ガキのリーダーと思われる少年が、いきなりルーリーにジャンプして飛びかかってきた!
そこはドーベルマンの野性が反応しないわけがなく、グルルルルルっ!と突進。
俺は完璧に足をすくわれて地面に転倒。
左の頬はアスファルト。携帯の電池は飛び、かろうじてルーリード手放さず。
泣きたい気持ちをこらえてムクッと起き上がり悪ガキを睨む。
なんとヘラヘラ笑ってるぞ、このヤング・ボーイ!
と言っても相手は子供。
怒鳴るのも大人げない。
静かに注意を与えることに決めた。

『君の今の行為はとても危険なんだぞ!
もしあの瞬間この犬が君に飛びかかったとしても、それは君の責任になるんだぞ!
でもきっとそれを聞いた大人達は、犬も悪いと言うだろう。
凶暴なドーベルマンが突然子供に襲いかかった!という話にすり替わってしまうかもしれない。
大体、君は俺が君のせいでこうして転倒し、右の小指から流血し、脱がなければ見えないだろうけど、きっとGパンの下の膝が擦り剥けているに違いないのに、そうしてヘラヘラ笑っている。
今夜は家のサウナと風呂でゆっくり旅の疲れをとろう!
と楽しみにしていたのに、あちこちヒリヒリしてそれどころではなく、寝返りだってキツいかもしれないじゃないか!
駐車場の前にこんなジャンプ台を作って、ここを通る車や通行人に迷惑だろう?
やるなら公園や、往来のない場所でやりなさい。
君のお父さんやお母さんに今のことを報告してもいいんだぞ。
しかし君が今、きちんと自分のやったことを反省し謝るのであれば、許してあげよう。
小さなことから大きな事故に繋がるんだ。
これからは気をつけて、人に迷惑のかからない場所で思いっきり遊びなさい。
そして動物にいたずらを仕掛けるようなことをしてはいけないよ。
よし。行きなさい。
怪我?大したことはない。心配しなくてもいい。
君のスケボー、なかなかクールじゃないか(振り返らずに去る)』


と咄嗟に英語で言うのは無理です。

ヘラヘラとかヒリヒリとかっていう単語知らないし。
寝返りも。往来も。

子供とは言え相手は皆外人。
日本語でも子供に理解し易いように話すのは難しい。
こっちが子供みたいになっちゃってね。


結局直訳すると

「おい!こら!痛かったではないですか。謝りますか?大丈夫。バイバイ!」

みたいなことしか言えなかった男布袋46歳。
振り返らずに去ったけどね。


随分前にも同じような経験がありました。

ハワイのオアフ島のホテルをチェックアウトするときのこと。
朝のチェックアウトのラッシュタイム。
最上階から下りのエレベーターに乗った時は俺たちだけだったのが、各階に止まり人数が次第に増え、やがて人数制限でブザーも鳴り満員に。
そのままロビー階まで下がれば問題なかったのですが、なんとエレベーターが途中で止まってしまいました。
「あらあら」「止まっちゃいましたね」などと日本人だらけのエレベーター内はのんきなもの。
すぐに動き出すと思っていたのでしょうね。
しかし5分過ぎても、10分過ぎても一向に動かず。
とうとう気の短い男が
「冗談じゃねーんだよっ!なんで俺らが閉じ込められなきゃなんねーんだよ!飛行機に間に合わねーじゃねーかよー!おらー!どうにかしろよ!」
と扉を蹴り始めた。
同時に他の客が「あれ?布袋さんですよね?わーっ!」なんて騒ぎ始めて、扉蹴り男は「布袋?かんけーねーんだよ!」などと声を荒げる。
とっても気まずく居心地の悪いエレベーター。
俺もなんだか腹が立ってきた。
スイートに泊まってたんだぜ。
飛行機も間に合わないかもしれない。
連れも「なんとか言ってやんなさいよ!」とか言うし。

「テメーラいい加減にしろ!」


と言いかけた瞬間、ガタンっ!という音とともに運転再開。
30分近く閉じ込められたことになる。

ロビーに着いて、他の客は待ち構えていたシャトルバスに駆け込む。
しかし俺の怒りは発散されることなく、体内に熱い炎を燃えたぎらせている。
俺は受付の男に言った。

「マネージャーを今すぐ呼んでこい!」


あまりの剣幕に「かしこまりましたっ!!!!」と男は別室に飛び込んで行った。

数分後、俺の目の前に表れたのは



金髪の美女。



「ハーイ」
と言われて
「ハーイ」
と答える。
「エレベーターの件は本当に申し訳ありませんでした」
と言われて
「ノープロブレム」
と答える。
「またどうぞお越し下さい」
と言われて
「サンキュー」
と答える。
「バーイ」
と言われて
「バーイ」
と終いには笑ってる自分。


英語で怒るのは難しい。

というか、やっぱり外人には弱いんだね。