小児科(外来28)
診療内容と特徴
当科は小児疾患全般にわたる診療を行っており、専門性の高い治療を要する児や、入院を必要とする重症患者も受け入れております。
毎日当直医師が在院しており、24時間体制で夜間・休日における救急患者に対応しております。
特殊外来(予約制)としては、循環器外来(先天性心疾患の診断と管理、不整脈の診断、川崎病後の管理)、神経外来(てんかんの診断と治療、発達障害の診断)、内分泌外来(低身長の診断と治療など)、血液外来を設けており、専門医の診察を受けることができます。
はじめに…
君津中央病院の小児科に、どんなイメージをお持ちでしょうか?「どんな病気でも、何とかしてくれる、こどもたちにとって頼もしい味方である。」なら良いのですが、「夜、急に熱が出たのに、すぐ診てくれなかった。」とか「熱が長く続いて心配になって、夜に電話をしたのに、次の日にと言われて不満だ。」とか、聞こえて来そうです。今日は、君津中央病院の小児科の真の姿を、大公開としましょう。
入院で治療ができます…
まずは、入院の施設を持っていることがあげられます。当たり前?と、みなさま、お思いでしょうか。4市(木更津、君津、富津、袖ケ浦)には、小児が、入院で、いつでも治療ができるようになっている病院が他にないのです。だから、夜間や休日にこどもで入院治療が必要な場合、他の地域で行っているような、当番で入院を受け持つ輪番制を取ることができません。入院患者は、一手に引き受けている状態です。クローバーの第23号で10階西病棟が紹介されていますが、病院の最上階にあり、小児科として34床の病床を持っています。写真は、病棟内に設けられているプレイルームの様子です。こどもたちが安心して病気から回復できるように、保育士2人がお手伝いしています。
小児科と臓器別専門
内科が臓器別になっているのに小児科は?と疑問に思ったことがありますか?小児科の医師に「専門ではないので」といわれて、はてな?と思った人は多いかもしれません。内科も以前は全身を診ていたのに、医学が進歩して細かく分かれてしまって、現在は、からだ全体を診察する総合診療科が、逆に注目されています。小児科でも、内科のように、専門的な病気は専門でないと分からない時代になってきています。しかし、こどもは大人とちがって、身体のどこが調子悪いなんて言ってくれませんし、たとえおなかが痛いと言っていても、別の部分の具合が悪いことは良くある事です。全体を診て判断しないと、正しい診断に近づけない事になります。私たち小児科医は、自分の専門領域以外の病気のことも、ある程度勉強して身につけていないと、病気を見つけることが難しくなってしまうわけです。こんなこともあって、週に2回、抄読会を行っています。外国の医学雑誌を持ち回りで読んで、お互いに情報交換をする場を設けています。写真はその様子です。専門性の高い病気であることがわかったこどもたちは、専門の医師が診察を行うことにしていて、神経外来・循環器外来・内分泌外来・血液外来を午後に予約制で開いています。
私たちの喜びは…
何といっても、こどもたちが病気から回復して帰って行く時の笑顔には、他の科では味わえない喜びがあります。現在の医学でも直らない病気の場合は、逆に辛いこともありますが…。こどもたちの未来を守ることが私たちの使命と考えています。
みなさまにお願いしたいこと…
病院の小児科の姿が、少しでも伝わってくれれば良いのですが。私たちは、こどもたちの命が安全であるように願って、日々の診療を行っているのですが、具合が悪くなったこどもたちすべてを、この病院だけで診るには無理があるのはおわかりいただけると思います。なんといっても小児科医は7人しかおりませんし、休日夜間には医師1人で、入院している患者や救急患者に対応しているのですから。重症な患者から優先して診ていくしかないのです。そこで、こどもを育てているみなさんにお願いがあります。まず、家庭医・かかりつけ医を持っていただくことです。そして、ある程度の急病は、そちらの医師と相談して解決していただくと、かなりの数のこどもたちが、休日や夜間に、バタバタあわてなくてすむと思います。昼間は様子を見ていて、悪くなったら中央病院に相談すればいいや、では、他の重症の患者に集中して診療を行っている当直の医師を疲れさせ、本当に命を助けなければならないときに、力を発揮できない事態になり得ます。こどもたちが重症になった時、安心してかかれるように、軽症と思われる場合は、かかりつけ医の診察を受けておいて、重症と判断されれば紹介してもらうのが良いと思います。そうは言っても、急に悪くなるのがこどもなんですけどね。
おわりに…
これまでの話で、また、君津中央病院のしきいが高くなったでしょうか。でも、これが現状なんです。数年前から新聞紙上などで取り上げられてきた、小児救急の問題は、私たちの病院でも同じ問題。つまり、大きい病院に時間外のこどもたちが集中する→小児科医が疲れて辞めてしまう→小児科医が足りない→残りの小児科医に、ますます負担が集中する。という悪循環が生じています。こどもたちの命を守るシステムを維持するために、先ほどの協力をお願いしているところですが、実は小児の場合、軽症なのか重症なのかは、明らかに分けられないこともあり、単純ではありません。小児科医がたくさんいれば、断らずに診る方が間違いはないのです。小児科医が病院に増えてくれれば、もう少し余裕ができて親御さんの不安にも対応できると思うのですが、しばらくは、重症を選んで診察していくしかないと考えています。しかし、現状はそうでも、これからの夢としては、小児科医が余裕を持って診療に励むことができて、こどもたちにも、親たちにとっても、安心して暮らしていける地域になっていってほしいと願っています。(小児科部長 諏訪部 信一)
診療時間・担当医師のご案内
診療スタッフ紹介
氏名 | 諏訪部 信一 | |
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職名 | 医務局次長 医務局小児科部長、科長 医務局医学図書室長 |
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出身校(卒業年) | 千葉大学 (平成3年) | |
認定資格等 | 日本血液学会認定血液専門医、小児科専門医 | |
専門分野・研究分野 | 血液疾患 |
氏名 | 有馬 孝恭 | |
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職名 | 医務局小児科部長 | |
出身校(卒業年) | 山梨大学(平成8年) | |
認定資格等 | 小児科専門医、アレルギー専門医 | |
専門分野・研究分野 | 小児アレルギー疾患、小児リウマチ疾患 |
氏名 | 木下 香 | |
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職名 | 医務局小児科部長 | |
出身校(卒業年) | 千葉大学 (平成11年) | |
認定資格等 | 日本内分泌学会 内分泌代謝科(小児科)専門医指導医 日本小児内分泌学会評議員、小児科専門医 |
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専門分野・研究分野 | 小児内分泌疾患 |
氏名 | 林 美幸 | |
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職名 | 医務局小児科部長 | |
出身校(卒業年) | 岐阜大学 (平成16年) | |
認定資格等 | ||
専門分野・研究分野 | 感染症 |
氏名 | 斉藤 裕子 | |
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職名 | 医務局小児科部長 | |
出身校(卒業年) | 富山医科薬科大学(現 富山大学)(平成18年) | |
認定資格等 | 小児科専門医 | |
専門分野・ 研究分野 | 小児循環器 |
氏名 | 山﨑 裕子 | |
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職名 | 医務局小児科医員 | |
出身校(卒業年) | 帝京大学(平成30年) | |
認定資格等 | 小児科専門医 | |
専門分野・ 研究分野 | 感染症 |
氏名 | 紺野 愛 | |
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職名 | 医務局小児科医員 | |
出身校(卒業年) | 徳島大学(平成31年) | |
認定資格等 | ||
専門分野・ 研究分野 | 小児循環器 |
非常勤(五十音順)
氏名 | 國松 将也 | |
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職名 | ||
出身校(卒業年) | 千葉大学(平成24年) | |
認定資格等 | ||
専門分野・研究分野 |
氏名 | 神徳 穂乃香 | |
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職名 | ||
出身校(卒業年) | 自治医科大学(平成28年) | |
認定資格等 | ||
専門分野・研究分野 |
氏名 | 塩濵 直 | |
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職名 | ||
出身校(卒業年) | ||
認定資格等 | ||
専門分野・研究分野 |
氏名 | 高田 展行 | |
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職名 | ||
出身校(卒業年) | 千葉大学(平成14年) | |
認定資格等 | 小児科専門医 | |
専門分野・研究分野 | 循環器 |
氏名 | 藤里 秀史 | |
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職名 | ||
出身校(卒業年) | 自治医科大学(平成28年) | |
認定資格等 | 小児科専門医 | |
専門分野・研究分野 |
氏名 | 山本 健 | |
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職名 | ||
出身校(卒業年) | 千葉大学(平成20年) | |
認定資格等 | 小児科専門医 | |
専門分野・研究分野 | 小児アレルギー疾患、小児免疫疾患 |
診療実績
現在当科の行っている研究
重症の小児救急患者を治療する病床をどの病院にいくつ作るべきかを調べています。「千葉県小児救命集中治療ネットワーク事業における小児重症疾患登録」事業と言います。調べる13項目の内訳は以下のリンク先の表の通りです。この項目は個人として特定できないように、配慮して決めてあります。
「千葉県小児救命集中治療ネットワーク事業における小児重症疾患登録」(平成25年1月10日<当院は院内倫理委員会承認後参加>から平成35年3月31日の10年間)
閲覧が可能なのは連携12病院の登録された研究者および千葉県のみ。
君津中央病院
小児科部長、科長 諏訪部信一
2024年5月21日 定期更新実施