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発禁AVの知られざる事実

実話誌で一年に一度は必ず見かけるネタ、「発禁AV」。
様々な理由で発売できなくなった作品、店頭から回収された作品、刑事事件になってしまった作品等々、いずれも「発禁」「封印」といった文字が読者の興味を引くのだろうか?
そんなAVの数々をまとめたのが『封印されたアダルトビデオ』が出版された。

収録されたのは19の作品。しかも、単にウワサを書き連ねるのではなく、綿密な取材もしているではないか。「いったい、どれだけAVが好きなんだ?」と、思いつつ著者の井川楊枝氏を訪ねた。

井川氏は今回の執筆の動機を「実話誌では、内容が薄っぺらすぎる」と思ったことだと話す。

これまでも実話誌ライターとして、数多くの分野で活躍している井川氏は、封印されてしまった原因の表現そのものよりも「その向こうにある話」のほうが面白いと気づいたという。

「AVを一本制作するのに数百万円がかかるから、発売できなくなったら制作会社にとっても大変な事態です。ですので、ビデ倫などの審査機関と大げんかしたとか、プロダクションと揉めているといった話をたくさん聞くんですよ。そうした人間模様を書いたら面白いんじゃないかなと思ったんです」

本書の執筆にあたって井川氏は、とにかく関係者から直接話を聞くことを第一に考えて取材を進めたそうだ。とはいえ、扱っている作品からして取材が楽でなかったことは容易に想像がつく。

本書で掲載されているのは、障害者を出演させたことでビデ倫の審査を落とされた『ハンディキャップをぶっとばせ』。

自衛隊の駐屯地でロケを行い、隊員たちも盛り上がったのに、突然自衛隊側が「撮影許可を出していない」と手のひらを返して封印された『戦車とAVギャル』。

発売中止AV『アダルトマスター』アイドル育成ゲーム『アイドルマスター』を本気でパロディにしたらゲームのファンが元ネタの会社に通報して発売中止になった『アダルトマスター』。

さらに、アイドルDVDとは名ばかりの「児童ポルノ」で、児童ポルノ法違反で摘発された『少女のうた』、さらに、ネットでもお騒がせの片桐えりりかまで、硬軟とりまぜた様々な作品だ。そんな作品の知られざる実態に迫るわけだから、取材は困難を極めた。

藤軍団事件『少女のうた』画像
「際どい取材が多かったですよ。どの作品のエピソードでも、話したくない関係者はいますからね。監督から"これは出さないでくれ"といわれることは多かったですし、メーカーからはもっと強くね......」

結果、どのエピソードを読んでも、当事者にかなりディープなことまでを話させることにも成功。

ピンキーネット摘発の原因!?『少女のうた』中でも所属事務所の10代の少女を次々と「児童ポルノ」に出演させた「藤軍団事件」の摘発のきっかけとなった『少女のうた』のエピソードでは「ジュニアアイドル業界の片親率はかなり高い」とか、かなり踏み込んだ部分まで語った上で、逮捕された「藤軍団」の人物への取材にも成功している。

「事件が取りざたされていた時にも取材していたのですが、さらに深く取材したいと思い、被害に遭った女優を手当たり次第にあたって、なんとか当時のマネージャーの連絡先を聞き出したんですよ」

藤軍団事件『少女のうた』画像
かなり熱のこもった取材を行った本書だが、井川氏は、犯罪に関わるものを除けば封印されたAVには真摯に制作されているものが多いと話す。

「審査で落とされた作品の当事者からは、"今でも納得ができない"という言葉をよく聞きました。せっかく制作したのだから、世に出したいのは当然なんでしょう」

まさに「足を使った」という言葉がよく似合う取材の結晶といえる本書。単にキワモノAVを並べただけではない、生の声を知ることができる貴重な資料となるだろう。[日刊サイゾー/取材・文=昼間たかし]
http://www.cyzo.com/2012/05/post_10504.html

藤軍団事件『少女のうた』画像
「藤軍団」ピンキーネット摘発事件とは
16歳の女の子をモデルに「着エロ」を撮影したとして、芸能プロダクション「ピンキーネット」の社長らが児童買春・児童ポルノ禁止法違反で逮捕された。

ピンキーネット所属のほとんどのアイドルは名前に「藤」の文字が付くことから「藤軍団」との異名を持つ。

「MSN産経ニュース」によると、少女が「恥ずかしい映像を撮られた」と警視庁に被害を訴えたことがきっかけとのことだ。

また2ちゃんねるの関連スレッドによると、直接の容疑になったのは「現役JC15の限界!少女のうた」ではないかとの話が出ている。どうやらテレビのニュース番組でパッケージが写ったようだ。[2009年2月]

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