医療現場からの提言

2019年

vol.08 大汗かいたら塩分補給

熱中症とはどんな症状でしょうか

栗林:

「真夏日」や「熱帯夜」と聞くとうんざりしますね。地球温暖化のせいでしょうが、夏になると「熱中症」が毎年話題に上ります。熱中症は、高温多湿や強い日射・照り返しにさらされることで体温調節ができず、体内に熱がこもり、体内の水分や電解質のバランスが崩れて発症します。めまい・立ちくらみ・頭痛・吐き気・発汗異常・筋肉痛やけいれん・足のつれ・だるさが出現し、ひどくなると全く動けなくなり、意識を失い、命の危険を招きます。高齢者や、糖尿病・心疾患などの慢性疾患を有する人は、喉の渇きの自覚が乏しい上に、汗もかきにくく、熱中症にかかりやすいので特に注意が必要です。

対策を教えてください

栗林:

対策としては、吸湿性・速乾性のある肌着や通気性のよい服を選び、炎天下の行動を避け、日陰や涼しい場所で過ごし、外出時にも日傘をさしたり帽子をかぶって直射日光を避け、濡れタオルなどで体を冷やします。屋外のスポーツや労働中だけでなく、屋内でも注意が必要です。室内ではエアコンを使い、室温を28度以下にし、湿度にも気を使います。

水分補給はどうすればいいですか

栗林:

喉が渇かなくても、就寝時、起床時、運動前・中・後に必要な量の水分を摂取します。汗をかく場合、水やお茶などの冷たい水分を補給します。仕事や運動などで大汗をかいた場合には塩分も補給します。梅干しには塩分以外のミネラルや、疲労回復にも効果があるクエン酸が含まれるのでお薦めです。一方、小腸ではナトリウムとブドウ糖は1対1で吸収されることから、一時スポーツ飲料が薦められましたが、意外とナトリウム濃度が低い上に、糖尿病があると血糖管理が非常に難しくなるためあまり薦められません。
体に異変を感じたら、もちろんちゅうちょなく、医療機関を受診しましょう。

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