地域医療ニュース
医療と福祉の連携を市民の視点で考える
地域シンポジウムが東金市で開催
2013. 06.03 文/大森勇輝
地域で安心して暮らしてくために、欠かすことのできない医療と福祉。かつてはバラバラに機能していたが、昨今叫ばれているのがその連携だ。
そこで、なぜ今、医療と福祉の連携が必要とされているのか。また、そのために何をすべきなのか。そうした問題を市民生活の観点から考えるべく、2013年3月10日、東金市のふれあいセンターで「医療と福祉を地域でつなごう!」と題した講演会が開かれた。3時間にわたり様々な意見が交換された、その模様をお伝えしよう。
会はまず、主催者である東金市社会福祉協議会の会長を務める外山允一氏と、同じく主催のNPO法人地域医療を育てる会の藤本晴枝理事長があいさつに立ち、今回の主旨を説明。今や、統計的に2人に1人はがん患者という時代を迎え、どのような医療がこの地域で受けられるのか。また、慢性の病気を抱えながら、住み慣れた土地で暮らしていくためにはどうしたらいいのか。そういったことを考えていきたいと語った。
両者のあいさつに続いて基調講演に移る。テーマは「がんになる前に知っておきたい医療のこと」。スピーカーは、さんむ医療センターの篠原靖志医師である。篠原氏の本職である消化器外科とともに、同病院で緩和ケアも担当している。篠原氏は「がん」という病気の発症、検査、治療などについて分かりやすく解説を行った。
同氏によると、がんの発生の仕組みは、生命の誕生と成長維持のための仕組みと密接にかかわっているとのこと。ノーベル賞を受賞したことでも話題のiPS細胞も失敗するとがん化するように、がんの発症には遺伝子が関係しているため、死ぬまでがんと無縁で生きるということは難しいという。予防法としては、禁煙、飲酒節度、塩辛いものを食べ過ぎずバランスの良い食事をとること、適度な運動、太りすぎない、肝炎ウイルス感染の有無を知り感染したら治療することなどを指摘。ただし、これらに気をつけたとしても、絶対にがんにならないという方法はないとも付言した。
また、近ごろ書籍などで話題となっている「がん検診はムダ」という意見にも言及。そういった考えは一面の真理はあるが、かなり極端だとし、データ的にもがん検診を受けておいたほうが、がん死亡率の低下など効果が見られると語った。
とりわけ、有効ながん検診として篠原氏が挙げたのが、乳がん検診だ。視触診、エコー、マンモグラフィーがあり、日本は世界的にもトップレベルにあるという。また、便潜血検査を受けることにより、大腸がんも見つけやすくなると指摘した。