地域医療ニュース
茂原市で地域医療フォーラム・住民対話集会
「子どもの救急と地域の医療を考える ~長生郡市の医療をみんなで守る~」を開催
2013. 06.24 文/梅方久仁子
2013年3月24日に茂原市役所市民室にて、長生郡市広域市町村圏組合が主催する地域医療フォーラム・住民対話集会「子どもの救急と地域の医療を考える ~長生郡市の医療をみんなで守る~」が開催された。会場には親子連れなど、子どもの救急に関心を持つ住民が多数参加した。その様子をリポートしよう。
地域医療を守るには、住民の理解と協力が必要
宍倉朋胤 氏
会は2部構成で、第1部は「子どもの救急講習会」として、千葉県医師会理事・茂原市長生郡医師会理事の宍倉朋胤氏による講演が行われた。その内容を紹介しよう。
救急医療は、外来で対応できる1次、入院や緊急手術を行う2次、専門的で高度な治療を行う3次に分けられる。長生郡市では、夜間の1次救急として夜間急病診療所(夜急診)があり、2次は6つの病院が輪番制で救急患者を受け入れている。救命救急センターにあたる3次救急は長生郡市の中にはないため、必要があれば他の地域の病院に搬送される。
数年前に医師・看護師不足が深刻になり、いくつかの病院が夜間2次救急の輪番を引き受けられなくなった。そのため平成18年4月にはひと月のうち9日、平成19年には14日が、夜間の2次救急で担当病院がない事態(空白日)に陥った。対策を協議するために、平成20年7月に救急医療体制検討委員会を設置。医療関係者の努力によって、平成21年5月には、なんとか空白日を解消できた。ただし、その後も厳しい状態は続いている。
千葉県は医師数が少ないが、長生郡市は県内でもさらに少ない。人口10万人あたりの医師数は、千葉県は全国平均の4分の3くらいで、長生郡市は半分以下だ。
現在、医師の高齢化が進み、夜急診を担当する開業医37名中、60歳以上が7名、55歳から59歳が14名だ。医師を確保するため、一昨年にはそれまで60歳だった定年を65歳に繰り上げた。しかし、このままでは、5年後にまた同じ状態になる。開業医は昼間の診療を終えたあとに、夜急診を担当している。大変でも引き受けているのは、地域医療を守ろうという熱意からだ。医師がモチベーションを維持するには、みなさんの理解と協力が必要だ。