地域医療ニュース
千葉市の医療について考える連続シンポジウム第1回
「千葉市の医療の“いま”を考えよう ?救急の現場から見えてくるもの?」が開催
2013. 04.03 文/梅方久仁子
千葉市は今後の高齢化を見据え、医療について考える連続シンポジウムを企画した。平成25年1月19日にその第1回が「千葉市の医療の“いま”を考えよう ?救急の現場から見えてくるもの?」と題して、千葉市文化センターアートホールにて開催された。多くの医療関係者と市民が集まり、千葉市の医療の現状について耳を傾けた。その様子をリポートしよう。
高齢社会医療政策研究部
客員准教授 井出博生 氏
最初に主催者として千葉市長・熊谷俊人氏が挨拶に立った。
「医療は大切な資源で、医師や看護師には限りがある。今でも医療現場はいっぱいいっぱいで、これ以上高齢者が増えたらどうなるのか。いい医療を受けるためには、市民が賢く医療を使うまちにしなくてはならない。医師や看護師が働きやすい環境を作って、医師や看護師に選ばれるまちにしたい」と語った。
2025年には病床数が足りなくなる
次にシンポジウムの趣旨説明として、千葉大学医学部附属病院高齢社会医療政策研究部客員准教授・井出博生氏より、千葉市の医療の現状について、以下のような紹介があった。
千葉市の人口は2013年1月1日現在約96万3000人で、高齢化率が高まっている。そのうえ、今後75歳以上の後期高齢者が増え続け、入院治療が必要な人が増えてくる。現在、千葉市で入院治療を受けている方の数は5,000人台後半、それが2025年には7,700人くらいになると予想されている。現在、千葉市の病床数は7,125床のため、2025年には600病床ほど足りなくなる。
高齢化率の高まりは、救急搬送にも大きな影響を与えている。千葉市では救急搬送数が増え続けているが、その原因は主に高齢者の搬送者数の増加にある。
今後さらに、搬送数が増えると救急搬送体制にも影響が出る。救急搬送の半数が実は「軽症」に分類されるため、緊急性が低い要請を減らすことが必要だ。ただし、データを丹念に見ると、高齢者の「軽症」はそれほど多くなく、本当に必要な人が救急要請している割合が高い。つまり高齢者だけを問題にするのではなく、全世代の問題として考える必要がある。