なんかニュースとかあったらここに書こうかと思ってますよ。とりあえず、おいらのブログ
リレー小説・5「過ぎ去った未来の記憶」 : 共同創作
とっきー (とっきー) 書いた人 共同創作,
@ 2007-06-09 19:13:00
リレー小説・5「過ぎ去った未来の記憶」
ここの続きです。
サングラスの男はさっきと同じように、ブラックジャックでの勝負を提案してきた。
「オーケー、望むところだ」
俺は笑みを浮かべて答える。
するとヤツは、驚いたように俺の顔を見た。
「? どうした?」
「……ふん、なんでもねえよ」
……ああ、そうか。
俺が“さっきの事”を“覚えている”ってことを、当然ヤツは知らない。
余裕を態度に出してしまうと、変に怪しまれるかもしれないな。
未来がわかると言っても信じないだろうが、イカサマでもやらかすと思われてはやっかい
さすが俺、そこに気がつくとは頭がいい。
「早くカードを渡したら?」
シルヴィが促す。でも、ここですんなりと渡してはいけない。
「おいおい、どうした? あの時俺から有り金をぶんどったことを、まさか忘れちまった
いらだたしげに、さっきと一字一句違わないセリフをヤツが吐く。
俺は内心、笑いを堪えるのに必死だった。
「い、いや……、記憶にない」
「あ? てめぇ、今何て言った」
心なしか、さっきよりも怒っているように見える。ひょっとしたら、笑いを堪えきれてい
まあ、さっきも殺されなかったんだから、ここで殺されることはないと思うが。
とりあえず落ち着け、俺。さっきとは違う意味で、落ち着け。
どうにかこうにか前回のやりとりを再現することができ(「トランプ」と呼ぶか「カード
最初に俺に配られたカードは4と3。
そして次にQが来て、合計は17。
そう、ここまではさっきと同じだ。
さっき、俺はドボンを恐れ、ここでストップしてしまった。
そして次にヤツに行ったカードは3。
最初に配られたAと5と合わせ、19。俺の負けだった。
しかし、ということはだ。俺が3枚でストップしなければ、次に来るカードはヤツに行く
「どうする? やめるか、もう1枚か? 5以上でアウトだからな。普通だったらストッ
ああ、たしかに俺は運がいい。ま、来るのは4じゃなくて3なんだけどな。
俺は不敵な笑みを浮かべ、「もう1枚」と、……言おうとした。
だが、頭の良すぎた俺は、余計なことに気づいてしまった。
最初に来たカードは4と3。
次に来たのはQ。
そしてその次、ヤツに行ったカードは3。
間違いない。はっきりと覚えている。
『な ぜ 覚 え て い る ?』
最初(かどうかも疑い出したらキリがないが)にあの砂漠で目覚めた時、俺は一切の記憶
しかし、俺はここで一度死に、再びあの砂漠で目覚めた時、それまでのことを覚えていた
自分の名前は覚えていなかったが、「自分の名前を思い出せず、ハルキという名前をつけ
なぜだ?
……いや、そんなことはどうでもいいことなのかもしれない。
それを言うなら、撃たれても生きていることや、時間をさかのぼったことのほうが、はる
でも、何か引っかかる……。
最初に目覚める前に死んだ時と、さっき死んだ時と、何かが違っていたのだろうか? だ
「どうした? 早く決めろよ」
その声で我に返る。ヤツが俺の顔を覗き込んでいた。
「あ、ああ……。悪い」
「命がかかってるのよ。納得いくまで迷わせてやりなさいよ」
シルヴィがかばってくれた。
彼女やアリサはどうなんだろう? 自分が一度殺されたことを知っているのだろうか?
「ちっ……。てめぇといいこの女といい、殺しても殺し足りないくらいだぜ……。聞いて
「ああ。あ、いや」
結局、頭のいい俺が出した結論は、「考えても仕方がない」というものだった。手がかり
とにかく大事なのは、この勝負に勝つことだ。あとの事はそれから考えればいい。
俺はゆっくりと口を開いた。
「……もう一枚だ」
「へっ、ビビりやがっ……」
笑いかけたヤツの表情が凍る。
「てめぇ、今、なんつった?」
「もう一枚だ」
ヤツの顔から血の気が引いていく。
動かないヤツの手から、シルヴィが一番上のカードを取る。数字は……、3。
「これでいい。ストップだ」
ヤツは口をぱくぱくさせるばかりで、ゲームを進めようとしない。
再びシルヴィがヤツの手からカードを取る。
「て、てめぇ……」
シルヴィはゆっくりと、そのカードを表に向けていく。
ヤツはそのカードではなく、俺の目をにらみつけたまま、言った。
「さ っ き と 違 う じ ゃ ね え か」
ヤツの3枚目のカードは……!
(つづく)