どうしたら“良い文章”が書けるようになるのか?
その疑問に応えてくれるのが「文章読本」だ。今までに三島由紀夫、川端康成、井上ひさし、斎藤美奈子など多くの作家・評論家が、文章上達の術をまとめてきた。
例えば、谷崎潤一郎の「文章読本」には、こう書かれている。
「文章を綴る場合に、まずその文句を実際に声を出して暗誦し、それがすらすらと言えるかどうかを試してみることが必要」
丸谷才一の場合はこうだ。
「作文の極意はただ名文に接し名文に親しむこと、それにつきる」
今はtwitterやFacebook、ブログなど、ウェブで誰もが気軽に文章を書くようになった。時代が進むごとに、文章術はどんどん身近で重要なテーマになっている。ところが「ウェブにおいての優れた文章」という視点から論じられたものは、実はまだあまりない。ウェブで文章を書く際に注意すべきことはなにか? 紙と比べて違いがあるのか?
そんなテーマで語られたイベント「ウェブ時代の文章読本2013」が、ツブヤ大学の主催で行われた。
登壇者は、「やまもといちろうBLOG」のやまもといちろう、「小鳥ピヨピヨ」の清田いちる、日経BP社の編集者・竹内靖朗、ライブドアブログのディレクター・佐々木大輔の4名。
まず語られたのは、ウェブにおける文章の体裁について。
「行頭の一字空け」など、紙の本では当たり前とされるルールはウェブでも用いるべきなのか?
○基本的には行頭は空けない。代わりに、改行したら一行空けると読みやすい。(清田)
○行頭は必ず空ける。なぜなら、本にする場合にラクだから。紙の本で長年蓄積された技法はとても効果的で、ウェブでも色あせていない。(やまもと)
また、ウェブ独自のシステムであるリンク方法については、こんな意見も。
○文章内にあると認識されづらいので、リンク先のタイトルとURLをすべて表示するようにしている。(やまもと)
つまり、「エキレビ」ではなく、「エキレビ:http://www.excite.co.jp/News/review/」のほうがよい、ということだ。
さらに「リンク先を読んでもらわないと内容が通じない場合は、リンクを強調させる。もしくは引用する」(やまもと)という工夫や、「リンク先に飛ばしたくない場合は、文中にひっそりと忍ばせる」(清田)というテクニックも。
書くデバイスによる違いにも触れられた。
PC・スマホ・ガラケーでは画面上に見える文字数が違うため、自然と文体も変わってくるという。…