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生命保険とは、死亡や病気、ケガなど予期しない出来事により発生する経済的リスクに備える為の保険です。一概に生命保険といっても保障内容の違いにより様々なジャンルがあります。主に死亡を保障する死亡保険、病気やケガを保障する医療保険や入院保険、子供の将来に備える学資保険や老後に備えるための個人年金保険なども生命保険の一種です。2011年度の個人保険(個人で加入する生命保険)の新規契約件数(契約転換制度による転換後契約を含む)は1,622万件、新規契約高(転換による純増加金額を含む)は65 兆6,015 億円でした(※参照:社団法人 生命保険協会『生命保険の動向(2012年版)』)。
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生命保険は、保障期間の違いで大きく定期型と終身型に分類されます。定期型は、保障を必要とする一定期間だけ契約する保険です。当初の保険料は比較的安く抑えることが出来ますが、更新によって保険料が上がります。一方、終身型は一生涯を保障する保険です。保険期間中の支払う保険料は変わらず、満期保険金はありません。他にも特別勘定の運用実績に応じて死亡保険金や解約返戻金、満期保険金の額が増減する変額保険は株式や債券を中心に資産運用し投資リスクは個人が負うことになります。保険料の払込方法には月払や半年払・年払がございます。保険会社によってはその他「前納」や「一時払い」という方法も選択可能です。前納には一定期間の保険料を前払いする前納と払込期間すべての保険料を前払いする全期前納がございます。まとめて払い込む方法をとるほど保険料が割安となります。

加入者の年齢や家族構成などの変化に伴い必要な保障も変化する為、現契約に医療特約や定期保険特約・障害特約などの特約を中途付加したり、主契約や特約の保障額を減額するなど、加入後もライフステージの変化や契約更新の際に見直しを行うことが必要です。生命保険によっては、満期保険金や解約返戻金が支払われる保険もあります。契約してから短期間で解約したときには、解約返戻金はまったくないか、あってもごくわずかです。一度解約した保険は元には戻りません。もう一度加入する場合、年齢がアップした分保険料が割高になったり健康状態によっては新たに契約できない場合もあるので注意が必要です。解約返戻金についての詳しい内容は「ご契約のしおり・約款」などでご確認ください。生命保険は配当金の分配がある仕組みの「有配当の保険」と配当金の分配のない仕組みの「無配当の保険」に分類されます。さらに有配当は「3利源配当タイプ」と「利差配当タイプ」に分かれます。


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「ソルベンシー・マージン比率」

生命保険に申し込む際にチェックすべきことはいくつかありますが、保険会社の経営状態を知ることもそのひとつ。

企業の経営内容の公開を「ディスクロージャー」といいます。保険会社でも「ディスクロージャー資料」を作成し、ホームページなどに経営内容や財務状況を開示しています。一般に、保険会社では毎年、決算終了後に最新の数値が公開されます。

そのなかでは資本金や責任準備金、資産の運用状況などのほかに、「ソルベンシー・マージン比率」というものが記載されています。これは何を表わしているものなのでしょうか。

「ソルベンシー・マージン(solvency margin)」とは「支払い余力」のことをいいます。保険会社では将来発生しうる保険金の支払いに備えて、責任準備金を積み立てています。そのため、通常想定しうる範囲のリスクであれば、十分対応することができるわけです。

しかし、大地震の発生や株の大暴落などといった、通常想定しうる範囲以上のリスクが起こる場合もあります。そのような事態となったときでも、保険会社に対応できる支払い余力を有するかどうかを判断するための、行政監督上の指標のひとつがソルベンシー・マージン比率なのです。つまり、保険会社の経営の健全性を示す指標のひとつというわけです。

ソルベンシー・マージン比率の数値は%(パーセント)で表示され、その数値が大きいほど高い健全性を有すると判断されます。この数値が「200%」を下回った場合、金融庁により早期是正措置の対象となります。その意味で、200%以上という数値が健全性の目安になっています。

ソルベンシー・マージン比率

実は、過去に経営破たんをした保険会社の多くはこの比率が200%以上で、400%以上を示していた企業が破たんしたという例もあります。そのため、以前から経営の健全性を正確に反映していないという批判がありました。

そこで、金融庁ではソルベンシー・マージン比率の算出方法を見直し、従来よりも厳格化・精緻化した新基準を2012年3月期決算から適用することとなりました。なお、保険会社では適用より1年先行して、2011年3月期の決算から新基準の比率を参考値として公表しています。

ソルベンシー・マージン比率はあくまでも“経営の健全性を判断するための指標のひとつ”と考えるべきであり、この数値だけで保険会社を判断すべきではありません。財務状況や資産の運用状況、第三者機関の格付けなどから総合的に判断すべきでしょう。また、直近の数値だけを見るのではなく、過去の数値も確認し、推移を把握しておくことが重要です。

「保険期間」

保険選びでは保障内容を理解することは重要ですが、実は「保険期間」を知ることも大切です。

保険期間とは「保障期間」とも呼ばれており、保険の契約期間や保険会社の責任存続期間のことをいいます。通常はこの期間内に保険事故が発生した場合に、保険金や給付金を受け取ることができます。

この保険期間は損害保険と生命保険、さらに生命保険の種類によって異なります。

損害保険は「物」に対する保険です。一般に、物の価値というのは時間の経過とともに減少していくため、その価値に応じた契約内容に見直す必要があります。そのため、基本的に損害保険の保険期間は1年となっています。

生命保険は「人」に対する保険です。そもそも、人の価値というものは現金に換算することはできません。しかも、生活環境や生活設計、ライフイベントなどにより個人で保障が必要な期間は異なります。そのため、生命保険ではさまざまな保険期間のものがあるわけです。例えば、定期型であれば保険期間は10年などの一定期間であり、終身型であれば一生涯となります。

保険期間と保険料には密接な関連性があります。保険金額が同じ場合、定期型であれば保険料は安く、終身型では保険料は高くなります。ただし、定期型では「更新」があるという点には注意が必要です。満期後継続するときは、更新時の年齢で保険料が再計算されるため、年齢が高くなるほど保険料も高くなります。

保険期間と保険料

  保険期間 保険料 その他
定期型 一定期間 安い 更新により保険料が変わる
終身型 一生涯 高い 保険料は加入時のまま変わらない

なお、保険期間と保険料払込期間は一致しません。保険料払込期間とは、契約者が保険料の支払いを完了するまでの期間です。

例えば、保険期間は65歳で満了、保険料払込期間は60歳までの定期保険に加入したとします。この場合、保険料の支払いは60歳までとなりますが、65歳まで保障を受けることができます。

保険期間と保険料払込期間

「収入保障保険」

一般に、生命保険では契約者が死亡した場合に保険金を一度に受け取るわけですが、毎月の給料のように受け取ることができるものもあります。それが、「収入保障保険」です。

収入保障保険は、死亡と高度障害をカバーするシンプルな保険ですが、保険金が毎月いくらというように年金形式で支払われます。保険商品によっては、まとまったお金を必要とする場合に保険金を一括で受け取ることも可能です。ただし、そのときには年金形式で受け取る総額よりも少なくなります。

収入保障保険では、被保険者の死亡時から(死亡した月から)加入時に決めた年金支払期間が終了するまで、年金を受け取ることができます。遺族が受け取る年金の受取期間により「確定年金タイプ」と「歳満了年金タイプ」があります。

収入保障保険と似たものに、「所得補償保険」というものがあります。所得補償保険も毎月の給料のように年金を受け取ることが可能ですが、病気やケガによる就業不能時(※医師の指示による自宅療養や入院など)の収入を“補償”するものであり、損害保険という点で異なります。就業不能かどうかの判断は、医師の診断によることになります。対する収入保障保険は、死亡時の収入を“保障”する生命保険です。

収入保障保険の場合、加入者が保障額を設定することが可能ですが、所得補償保険では年収の60%程度までしか設定することができません。

また、所得補償保険では一般に「免責期間」というものが設けられており、この期間を超えて就業不能状態が続いた場合に、保険金が支払われることになります。つまり、就業不能となってもすぐに保険金を受け取ることができないので注意が必要です。数日や半年など、免責期間は保険商品によって異なりますが、この期間が短いほど保険料が高くなります。

「配当金」

生命保険のなかには、「配当金」を受け取ることのできるものがあります。

配当金の分配がある保険商品は「有配当タイプ」、配当金の分配がない保険商品は「無配当タイプ」と呼ばれます。生命保険の配当金は保険会社の事業年度に生じた利益を契約者に還元するものです。

生命保険の保険料は、「予定死亡率」「予定利率」「予定事業費率」を基に算出されています。「予定死亡率」とは各年齢・性別毎に毎年およそ何人が亡くなり何人が生存されるのかを、「予定利率」とは資産運用により得られる利益はどれくらいかを、「予定事業費率」とは生命保険会社の経費がどれくらいかを意味します。

しかし、予定したとおりの死亡率や運用利回り、事業費になるとは限りません。例えば、想定よりも実際の死亡率が低いため支払う保険金が少なかった(死差益)、予定よりも高い利回りで運用できた(利差益)、効率よく経営ができたために経費を抑えられた(費差益)などという場合には、剰余金(利益金)が発生するわけです。そして、剰余金を契約者に分配したものが配当金です。

有配当タイプは、「3利源配当タイプ」と「利差配当タイプ」に分類することができます。3利源配当タイプは、毎年の決算時に保険料の算出で用いられる3つの予定率と、実際の率との差によって生じる損益を集計して、1年ごとに剰余金が発生した場合に配当金として支払うものです。利差配当タイプは、予定利率と実際の運用成果との差によって生じる毎年の損益により剰余金が発生した場合に、配当金として支払うものです。こちらのタイプの多くは3年や5年ごとに配当がなされます。

無配当タイプの保険商品は、有配当タイプよりも予定利率などを実際の値に近づけているため、保険料が割安となっています。

配当金の支払方法には積立(据置)方法・現金支払方法・保険金買増方法、相殺方法などがありますが、保険商品ごとに定められています。

配当金は決算の結果により変動するものであり、剰余金が生じなかったときにはゼロという結果もあります。保険設計書(契約の概要)に配当金の記載がある場合でも、必ずその金額が支払われるわけではないので注意が必要です。

「生命保険料控除制度」

年末調整では、所得控除のひとつとして生命保険料控除の手続きができます。そもそも、生命保険料控除とはどのような制度なのでしょうか。生命保険料控除制度とは、生命保険や個人年金保険の保険料の支払額に応じて、一定の金額が契約者の所得(収入)から差し引かれる制度です。差し引かれる分だけ課税所得が減るため、所得税と個人住民税の負担が軽減されます。

その生命保険料控除制度が、2012年(平成24年)1月1日から新しくなりました。2011年(平成23年)12月31日までの制度には「一般の生命保険料控除」と「個人年金保険料控除」があるのですが、2012年1月1日以後に契約した生命保険は新しい制度の対象となり、「介護医療保険料控除」が別枠で新設されました。2011年12月31日までの制度の控除限度額は、一般生命保険料控除と個人年金保険料控除を合わせて所得控除で最大10万円(※各保険料の控除限度額は5万円)、住民税の所得控除(個人住民税)で最大7万円(※各保険料の控除限度額は3.5万円)となっていました。しかし、2012年1月1日からの制度では一般生命保険料控除と個人年金保険料控除、介護医療保険料控除を合わせて、所得控除の限度額が最大で12万円(※各保険料の控除限度額は4万円)に引き上げられました。なお、住民税については最大7万円(※各保険料の控除限度額は2.8万円)となります。

【2011年12月31日までの制度の適用控除限度額】

一般生命保険料控除:所得税5万円/住民税3.5万円
個人年金保険料控除:所得税5万円/住民税3.5万円

全体の所得控除限度額:所得税10万円/住民税7万円

【2012年1月1日からの制度の適用控除限度額】

一般生命保険料控除:所得税4万円/住民税2.8万円
介護医療保険料控除:所得税4万円/住民税2.8万円
個人年金保険料控除:所得税4万円/住民税2.8万円

全体の所得控除限度額:所得税12万円/住民税7万円

このように、それぞれの控除限度額は下がりましたが、介護医療保険料控除が新設されたことにより、所得控除における全体の適用限度額が拡大しました。注意すべき点は、2011年までに契約した生命保険については、“2011年12月31日までの制度がそのまま適用され、2012年の途中で更新や特約の中途付加、転換をした場合は、その契約全体の保険料について2012年1月1日からの制度が適用されることになります。

「リビング・ニーズ特約」

生命保険では「リビング・ニーズ特約」というものがあります。リビング・ニーズ特約とは、傷病の種類を問わず被保険者が医師から余命6ヵ月以内(※1)の宣告を受けた場合、死亡保険金(※2)を生前に受け取ることのできる特約のことをいいます。要は、死亡保険金の“前払い”を請求することができるわけです。

通常であれば、被保険者の死亡後にお金が支払われることになるので、自分自身で使うことはできません。そこで、生きている間に保険金(生前給付金)を受け取り、家族と海外旅行に行く、何かおいしいものを食べる、あるいは闘病費用に充てて経済的な負担を軽減するなど、そのお金を自由に使って残りの人生を悔いのないものにしてもらおうという目的から、リビング・ニーズ特約が開発されたわけです。

ただし、余命6ヵ月以内であれば自動的にお金を受け取ることができるわけではなく、生命保険会社に請求しなければならず、それには医師の診断書が必要となります。余命6ヵ月以内となると本人が手続きできない状態という場合もあるので、指定代理請求人を指名することが可能です。

※1:日本で一般的に認められた医療による治療をもって余命6ヵ月以内であること。
※2:請求した金額に対する利息と保険料相当額は控除される。

保険会社の多くでは、リビング・ニーズ特約で受け取ることのできる金額の上限が3,000万円までに設定されています。この点、同じ保険会社で複数の契約があっても、通算の上限額は3,000万円までとなります。しかも、この請求ができるのは1回だけです。

自動付帯されることが多く、保険料は無料なのに、わざわざ“特約”となっているのは不思議だと思う人もいるでしょう。重い病気の場合、被保険者本人が医師から余命を宣告されていない場合もありますが、給付金を受け取ることで、意図しない形で余命を知ってしまう恐れがあります。このように人生に大きな影響を与えるので、自分の余命を知ることを了承したうえで付加するかどうかを選択できるように、あえて特約としたわけです。

リビング・ニーズ特約の保険料は無料(※利息と保険料が引かれるため)であり、保険金は非課税となっています。また、受け取った保険金は非課税となっていますが、被保険者が死亡した場合には残っている(使い切っていない)分のお金は相続財産として相続税の対象となります。リビング・ニーズ特約による支払いがあると、それと同額の死亡保険金が減額されたこととなります。つまり、死亡保険金の全部を生前給付金として支払われると、主契約は消滅することになるわけです。