右を向いても左を向いても、少し疲れた顔のサラリーマンの姿。SL広場から人込みをかき分け、最初に訪ねたのは和菓子の文銭堂本舗=電話03(3591)4441。季節感あふれる和菓子は新橋の工場で手作業で作られる。「人の手でしか作り出せない味わいってあるんですよ」と社長の田口雅章さん。どのお菓子も甘さが上品で歯応えがよく、何個でも食べられそう。
9月にオープンしたタミヤプラモデルファクトリー=電話03(6809)1175=は、昼休みの時間帯や夜は背広姿 の男性客、土曜は親子連れでにぎわう。テレビゲームではかなわないお父さんも、プラモデルでは父親の威厳ばっちり。「完成品よりパーツのほうが人気。工具 の使い方を教えながら親子一緒に作るそうですよ。ミニ四駆を作って、イベントに参加する方も多く『子どもが学校以外の友達と遊べる』『競争で負ける悔しさ を覚えられる』とお父さんに人気です」とマネジャーの半谷孝道さん=写真左。「子どものため」と言いつつ、お父さんの方がすっかり夢中になるケースも多いとか。
明大通りにはたくさんの楽器店が並び、思い思いに楽器を手に取る客の姿を見かける。クロサワバイオリン=電話03(3292)0821=では月に一度のペースで全くの初心者向けにチェロの無料体験レッスンを実施中。年配の受講者も多いという。「楽器を見たい人にとっては新橋に来ること自体が一大イベント。日本全国から集まります」と店長の野本潔さん=同(左)
最後は昭和30年創業の画廊喫茶ミロ=電話03(3291)3088=へ。御年89歳の大ママ、長谷川吉(よし)さん と娘の京子さんが切り盛りする=同右。「学生時代に来ていたお客さんが『変わらないね』って言ってくれる。それが続けるってこと」と吉さん。ここでは時間 もゆったり流れる。個性的な専門店がわんさか集まるまさに知的フィールド。いろんな好奇心を刺激してくれる。(吉田美穂)