シンボルの風車がゆったりと回る浮間公園は浮間舟渡駅の目前。大きな浮間ケ池は都立公園で唯一釣りができるとあって、この暑さにも負けず、パラソルの下 でのんびりと太公望たちが釣り糸を垂らしている。その脇には浮間ケ原桜草圃(ほ)場。毎年4月中旬~下旬にさくら草祭りが開かれ、隣の氷川神社では桜草の 即売も行われる。
この地域で一番の老舗水塚酒店=電話03(3966)4318=は創業120年。屋号の「水塚」はこの地域独特の建築様式。「昔は荒川がよくはんらんしましたから。この辺りの古い家はみんなそうですよ」と四代目の高野佳介さん。こちらが毎年春限定で販売するのがオリジナルラベルの「吟醸酒さくら草」。
高野さんは浮間ケ原桜草保存会の会員の一人で自宅のベランダで200鉢の桜草を育てている=写真右。はす向かいのウキマ園=電話03(3966)6220=でも250種を誇る桜草を栽培中。店主の高木利之さんは「今は眠ってる時期。桜草は暑さに弱いから今の過ごし方で来年の成績が変わってくる」と手入れに余念がない。
ランチは一膳(いちぜん)屋五丈原=電話03(3558)0082=で。ボリュームある定食の数々の中、一番人気の「日替わりランチ」をいただく(同(左)、800円)。「『安くておいしくておなかいっぱい』がうちのモットー」と店主の伊従仁幸さん。近隣のサラリーマンの強い味方だ。
地元の商店が残る浮間中央通りを歩こう。米から作る手作りだんごが好評の米のやまびこ=電話03(3966)0275。無添加で傷みやすいため夏場はお休み中で秋から販売を再開するそう。
フレッシュフーズたけのうち=電話03(3966)7957=は日替わりのお総菜や弁当が人気の店。ねじり鉢巻き姿の元気なお母さん、竹ノ内富美子さんが一人で朝早くから仕込む。「うちはもともと八百屋だから、野菜が多くてみんなに好まれるのよ」と威勢がよい。
さて夕刻といえども、まだまだ日が高いこの時期。地元のお父さんたちの憩いの場、やきとんの松月=電話03(3969)1723=にぷらり寄る。ぶら下がるちょうちんは黒光りしてタイムスリップしたような店内。「掃除してないだけだよ」とご主人の稲味勝彦さん=同右=が笑い飛ばす。
「冷たいもの飲んで良いんでしょ」という巧みな誘惑に負けてもつ焼きをさかなにくいっと一杯。ぷは~っ。炎天下に歩き回った体にビールが染み渡る。これぞ真夏の町歩きの醍醐味(だいごみ)!(吉田美穂)