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【千葉】

改修護岸に生物戻る 三番瀬再生 県が公開モニタリング

海側から工事中護岸に近づき生物を調べる担当者=市川市で

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 県の三番瀬再生計画の一環として、改修が進む市川市塩浜一丁目護岸(一・六キロ)で五月下旬、生物の公開モニタリングが行われた。護岸は老朽化した直立護岸から、傾斜のあるコンクリート護岸に再整備の途上にある。県はこれまでの調査から、「護岸付近には、施工後早い段階から生物が戻ってきている」と評価している。 (小川直人)

 塩浜一丁目の護岸は漁港区域を除く六百メートルで二〇一一年六月に改修に着工し、一三年度中の完成を目指している。新たな護岸の環境への影響を確認するため、一〇年夏から生物や海底地形のモニタリングが始められた。

 施工前の調査や専門家の助言から、生物の回復度を測る基準は「施工後五年以内に生物三種以上を確認すること」とされた。

 着工後の一二年度平均は、満潮時に波があたる護岸の高い場所で三種、中間で四種、低い場所で五種が確認され、それぞれの高さで基準をクリアした。

 五月の今回の公開モニタリングでも、護岸で貝類のマガキ、イボニシ、タマキビ、護岸前の海底でアサリの稚貝やホンビノスガイの生息がそれぞれ確認された。県は工事完了後の一四年度までモニタリングを続ける。

 見学した地元の漁業関係者は「長期で見れば生物は戻る。安全が最優先」と新たな護岸の早期完成を望んだ。「三番瀬を守る連絡会」の代表世話人中山敏則さん(64)は「モニタリングの実施は評価する。ただ、本来の干潟の豊かな生物と比べると、種類も少なく厚みがない」と話している。

 三番瀬に面した塩浜の護岸の総延長は一〜三丁目まで三・三キロある。昭和四十年代後半に完成した一、二丁目の護岸は、当時、さらに海を埋め立てる計画があり、暫定的な直立護岸として建設されていた。老朽化も激しい。

 二丁目の護岸(一・一キロ)のうち九百メートルは、一丁目に先立ち〇六年度に改修に着工。一三年度は、水際に近づくために階段状にする百三十メートルを施工して完了する。残り二百メートルは過去の議論で、直線的な護岸案と陸側に湾曲させる案が出されている。県は、専門家らが事業を検証する「護岸検討委員会」で意見を聞き、方向性を決める。

 一方、三丁目の護岸(六百メートル)は一、二丁目より約十年新しい。県は耐久性を調べ、整備方針を検討することにしている。

 

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