首都、駆け抜けた 記者完走ルポ
もてなしの心もメジャー級
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靖国通りを駆け抜ける大勢のランナー=新宿区で |
今回からワールド・マラソン・メジャーズ(WMM)に仲間入りし、真の国際的大会となったムードをコース上でも目にすることが多かった。
そんな大会に向けて調整していた今月初め、別の大会で左脚太ももの肉離れをやってしまい、フルマラソンとは違うロングタイツに長袖シャツ、ニット帽という長時間走行に備えたウエアで臨んだ。
スタート前の整列時に、寒さ防止用として普及しているビニール袋などが都庁前に散乱、足を取られるランナーが相次いだ。ある程度走ってから給水所で捨ててもらうなど、今後、改善すべき課題だ。走路が混み合うスタート直後だけに、路上に捨てるのは事故につながる可能性がある。ここは苦言を呈したい。
回を重ねてきた大会だけに、給水所の運営はスムーズ。私設のエイドステーション(補給場所)も、5時間以上かかるランナーには後半、温かいスープを用意したり、フルーツを準備するなど、うれしい配慮があった。「おもてなし」の心はWMMならではだろう。こうした「TOKYO」の気持ちが2020年五輪招致にもつながると思う。
外国人の応援も目立った。在住か旅行者かは分からないが、沿道に陣取り、仲間を応援する気持ちは同じ。走らなくてもこの大会は楽しいはず、と考えていると、30キロを過ぎた。故障部位の激痛がひどくなり、39キロまでは歩いたり、走ったりに。寒さ対策のウエアが正解だった。「リタイアしてしまえば」と頭の中でささやく弱い自分が現れた。
だが、沿道のボランティアはどこも笑顔、笑顔…。そのスマイルと応援がそんな弱気を吹き飛ばした。最後の3キロは「5時間」のペースメーカーに率いられたグループと一緒になった。フィニッシュの東京ビッグサイトが見えた。グループから抜け出し、4時間59分で完走できた。この42・195キロは忘れられない。 (三橋正明、52歳)
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40キロ地点の給水所でランナーに声援を送るボランティアたち=江東区で |
都庁前をスタートする車いすランナー |
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中央区の給水所にはトマトやバナナも |
ゴールし満足げな笑顔を見せる三橋記者=江東区で |
全ランナーがスタートした後、コースを清掃するボランティア=新宿区で |
(2013年2月25日 東京新聞)