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【東京新聞フォーラム】

「子宮頸がんは予防できる」 基調講演

早期発見 9割が治る

自治医科大医学部産婦人科主任教授 鈴木 光明氏

すずき みつあき 自治医科大学医学部産婦人科学講座主任教授。1949年生まれ。慶応義塾大学医学部卒業。2002年4月から現職。日本産科婦人科学会専門医、日本臨床細胞学会専門医、日本婦人科腫瘍学会指導医。

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 日本では、一年間に約一万五千人の人が子宮頸がんを発症しています。今や、二十代から三十代の若い人を中心に、乳がんをしのいで、子宮頸がんが最も頻度の高いがんです。

 日本では、子宮頸がんと子宮体がんが混同されていますが、この二つは原因も全然違います。

 今、子宮頸がんが注目されているのは、子宮頸がんの原因がわかったことと、予防できるワクチンが登場したからです。

 子宮頸がんは、早期発見と予防が可能です。全女性が検診を受けて、子宮頸がんを前がん病変のところで見つけられれば、ワクチンがなくても九割方防げます。さらに、ワクチンは一番最初の感染するところを予防してくれます。

 ところが、日本は子宮頸がんの予防に関しては途上国です。がん検診の受診率が20〜23%と極めて低いのです。

 子宮頸がんの原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というありふれたウイルスで、誰でもこれに感染する可能性があります。大人の女性であれば、六割から八割の人が、一生に最低一度や二度は必ず感染します。

 子宮頸がんは予防の時代に入りました。まず、子宮頸がん検診の重要性は変わりません。検診で悪性細胞があるか、前がんの細胞があるかどうかを見ます。さらに、子宮頸がんの原因となるウイルスの感染を防ぐワクチンが登場したのです。子宮頸がんは、二つのすばらしい予防手段を持っていることになります。

 このワクチンを普及させるためには、公的補助が必要です。そして、できれば集団接種のほうがその効率は上がります。

 関東ではかなりの市町村が、ワクチンを全額もしくは半額負担で接種をスタートしています。栃木県の大田原市では、ワクチンの学校接種が、ことしの五月からスタートしました。

 各党のマニフェストでも、子宮頸がんの予防ワクチンの推奨と公費負担の導入を入れています。

 ワクチンと検診で、女性の「命」と「子孫」を守りましょう。子宮頸がんの制圧に向けた、国を挙げての取り組みにもぜひ期待したいと思います。

 

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