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【神奈川】

横浜市大病院 患者に高濃度酢酸

 横浜市立大学付属病院(金沢区)は三十日、栄養チューブの詰まりを除去するため、高濃度の酢酸液を投与したことで、市内在住の五十代の女性患者が死亡したと発表した。病院の平原史樹院長は「医学的見地に基づかない不適切な処置だった」と医療過誤を認め、謝罪した。金沢署が業務上過失致死容疑で捜査している。

 県警の司法解剖の結果、死因は、小腸炎を原因とする小腸壊死(えし)と判明。病院は、チューブ(直径二・七ミリ)から投与された高濃度の酢酸液が小腸に入り、炎症を起こしたとみている。病院によると、この患者は重い心不全と腎不全を患い、昨年八月から集中治療室に入院。鼻から腸までチューブを通し、電動ポンプで栄養液を投与していた。

 四月七日昼、チューブが詰まったため、女性看護師が医師の許可を得て、湯三ミリリットルで薄めた酢酸液十八ミリリットル(濃度25%)をチューブに投与したところ、患者が急に腹痛を訴えた。いったんは回復の兆しを見せていたが、二十四日朝、死亡した。

 昨年十一月にもチューブが詰まったため、この患者に高濃度の酢酸液を投与し、腹痛を起こしていた。大事には至らず、病院は原因が別にあるとみて十分な検証をしていなかった。

 チューブで栄養液を体内に投与する場合、細菌が繁殖して詰まることがある。詰まりを除去するのは、一般的に湯を使う。学会などの文献では詰まり防止として酢で殺菌する事例もあるが、酢酸液は1%程度の低濃度とされている。

 濃度25%の酢酸液は、一般の人でも体内に入れば炎症を起こすほど高い。投与した看護師は危険だという認識もないまま、酢酸ビンの「す5:ゆ1」との記載に従って調合したという。

 平原院長は「酢酸を使って効果があったという経験則をもとに、医学的確認をしないまま使った」と説明している。 (中沢誠)

 

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