南国の無人島に行ってみたい-。子どものころの夢って忘れましたか。
世界遺産のサンゴ礁「グレートバリアリーフ」が広がるオーストラリアのケアンズ沖。そこにはかつての夢を思い出させてくれる場所がある。波に削られたサンゴが堆積(たいせき)してできた砂州「ミコマスケイ」だ。島と呼ぶにはあまりに小さい。長さ300メートル、幅60メートル。国定公園に指定され、上陸できるエリアはその3分の1ほど。桟橋さえない。もちろん無人だ。
100人乗りの大型帆船でケアンズをたって約2時間。途中、約40人乗りの送迎船に乗り換えてやっと上陸できた。自由に行き来できるのは、観光客より海鳥の方だろうか。アジサシの仲間たちの繁殖地としても知られ、その数は約2万2千羽に上る。場所によっては砂浜が、黒っぽい羽の色で埋め尽くされるほどだ。
周囲のサンゴ群が波の緩衝役となり、沖合とは思えぬほど海は穏やか。水平線のかなたまで青い海が続き、ほおをなでる柔らかな風も心地よい。シュノーケリングで水中に潜れば、黄、青、白の熱帯魚が、サンゴを縫うように群泳している。グレートバリアリーフをモデルにしたディズニー映画「ファインディング・ニモ」さながらの舞台に包まれた。
ダイビングの日本人インストラクター、福嶋直人さん(38)=さいたま市出身=もこの海に魅せられた一人。「季節や天候によって、いろんな表情の海が楽しめる」。7、8月にはクジラも見られるという。