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【再生の原風景 渡良瀬】

<冬のラムサール湿地>広がる悲しみの光景

川霧が漂う谷中村跡の水辺から雪化粧した足尾の山並み(後方中央)を望む。その奥の高い頂が日光白根山=栃木県栃木市で

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 旧正月の10日朝、ラムサール湿地の谷中村跡から雪化粧した足尾の山並みを望んだ。かなたに関東以北の最高峰、日光白根山(2578メートル)も鎮座する。水辺に定置網の漁具が並び、川霧がわき上がった。獲物を狙うチュウヒが上空を飛んだ。

 明治時代に鉱毒事件が発生し、魚は死に稲は枯れた。五穀豊穣(ごこくほうじょう)の地として栄えた谷中村は滅亡。村から足尾銅山まで約50キロ。銅山は山の陰だが、村人には製錬所から立ち上る煙が見えたのであろう。村跡から見る悲しみの光景に心打たれた。

 昨年10月に掲載した「谷中村の遺跡を守る会」が延命院跡に設置した連絡ノートが16冊目に。「谷中村と福島は似ている。村人の声を無視して追い出した」「過去の歴史が想像され涙が出た」「次の世代に伝えたい史跡だ」「来て楽しかった」。記入者は3100人を超えた。

    ◇

 今回で冬編は終了です。次回は春編を3月下旬に再開予定です。

 写真と文・堀内洋助

 

再生の原風景 ラムサール湿地

東京新聞フォトサービス

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