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【暮らし】

<エネルギー再考>目指せ自然エネ100%の島 八丈島、観光PR

風力発電機から送電されるスタンドで、EVを充電=八丈島で

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 伊豆七島の最南端にある八丈島(東京都八丈町)で、風力発電による電気自動車(EV)や電動アシスト自転車を観光のPRに役立てる取り組みが行われている。地元の市民団体が主導する「クリーンアイランド構想」の一環で、エコツーリズムによる島おこしを図る。(編集委員・安藤明夫)

 白いボディーに、ひょうたん形の島と虹のイラスト。EVのレンタカー「iランドトープ号」は、見晴らしのいい八丈富士への道路をすいすいと登っていく。静かで、意外に力強い。

 このレンタカーが導入されたのは、二〇一一年十一月。電源をすべて風力発電でまかなうという全国初の取り組みだ。八丈町とNPO法人八丈島産業育成会(宮崎岩一理事長)の事業に、大手旅行会社JTBグループの関連法人が協力し、環境と観光を組み合わせた街づくりの実証実験としてスタート。小型の風力発電機三基と充電設備が、海に面した丘の上に造られた。昨年からは、地元のHJPレンタカー(大脇厚社長)が代理店になって事業化した。

 レンタカーは二台で、一日五千円。走行可能距離は百〜百二十キロ。「車で一周四十三キロの島なので、電気を無駄に使う乗り方をしなければ大丈夫」と大脇さん。

 八丈島は、風速一〇メートル以上の風が年間百五十日以上吹く。三基の発電機は、強風に耐えられる最新式を導入したが、昨年、四〇メートルの風が吹いたときには、垂直型の羽根を留めるねじが切れてしまった。

 産業育成会の理事長で本業は漁師の宮崎さんは「国や東京都の助成を受けているけど、故障はたびたびあるし、補修費用は持ち出し。けっこう大変だよ」と日焼けした顔をしかめる。それでも「自然エネルギーの島づくり」への思いは熱い。

 「島チャリ」と名付けた電動アシスト自転車のレンタル(一日二千五百円)も、一〇年夏から開始。十台でスタートし、現在は十八台に増やした。町役場の敷地の一角に設けられた一基の風力発電機で、バッテリーを充電している。一回の充電で約二十キロの走行が可能で、充電スタンドも島内六カ所に設けた。

 今後は地熱、波力、潮力などの実証実験を企業などに呼び掛ける活動も考えている。

 八丈島には、東京電力の地熱発電所があり、島の消費電力の25%をまかなってきた。東京都と八丈町は今年初め、地熱発電の規模を約三倍に拡大し、島内の電力需要の約八割を供給する計画を発表した。島を視察した猪瀬直樹知事の発案だ。宮崎さんは「地元の熱意が社会を動かしているのを感じる。自然エネルギー100%の島を実現すれば、観光効果も大きいはず」と意気込む。

 

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