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【放送芸能】

大和田伸也が初メガホン 「恐竜を掘ろう」 30日から上映

 俳優の大和田伸也が初めてメガホンを取った映画「恐竜を掘ろう」が三十日から、東京・有楽町スバル座などで上映される。出身地の福井県を舞台に「人と人のつながりの大切さ」を描いた作品。映画を監督するのが子どものころからの夢だったという大和田は「一生に一度のつもりで撮った作品。一人でも多くの人に見てもらいたい」と話す。 (井上喜博)

 映画は、悠々自適の毎日を送りながらも孤独を感じている美術店の店主・草助(松方弘樹)が主人公。そんな草助の元に、一人の少女(小野花梨)から「生きてますか」とひと言だけ書かれた手紙が届く。草助は家出したという少女を追って、恐竜の卵の化石を掘り起こすことを夢見る青年(入江甚儀)やその姉(内山理名)と知り合う…。

 「男性なら誰でも自分のこれまでの人生に疑問を抱き、寂しさを感じた経験が一度や二度はあるはず。学校に行っても教室にいられない少女、対人恐怖症の青年、子どものために自分を犠牲にしていると嘆く母親など、今の日本のどこにでもいる人たちを登場させました」と大和田。

 五歳のころから8ミリカメラで家族を撮影し、思春期にはイタリア映画に心酔したという大和田は、もともと監督志望だった。それがテレビ時代の到来と映画産業の斜陽化により、大手映画会社が新卒社員の採用を見送ったため、やむなく俳優の道へ。いつか夢を実現しようと作品の構想を温め続けた。

 物語の核となる草助と少女のやりとりは、知り合いの骨董(こっとう)店主から実際に聞いた話。酔っ払った草助が転んで水たまりに顔を突っ込み、誰からも助けてもらえず孤独を感じるシーンは、大和田がTBSの「水戸黄門」で格さん役を演じていたころに自ら体験したことを基にしたという。

 また大和田の次男で俳優の健介が共同脚本に加わり、福井県の観光ブランドである恐竜をモチーフにすることや、主人公のキャラクターに大和田自身が持つ少年っぽさを盛り込むことなどを決めた。

 監督の仕事自体にはまったく戸惑いはなかったという。「楽しくて仕方なかった。福井県の各地でロケをしたこともあって、ハードスケジュールだったんですが、主演の松方さんに私が一番生き生きとしていたと言われた」と大和田。「ただし編集作業は面倒でした。今はフィルムの切り貼りではなく、コンピューターを使った作業ですから」

 作品には、東日本大震災後にどう生きるかについて、大和田が考えたことも投影されているという。「大上段に構えるのではなく、とりあえず知り合った人と楽しく生きてみる。幸せは人と人とのちょっとした触れ合いから始まると思う。映画を見た人が、明日を生きるヒントをつかんでくれたらいい」

 

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