東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 特集・連載 > 東日本大震災 > 記事一覧 > 記事

ここから本文

【東日本大震災】

建設残土 提供で支援 宮城・福島両県へ横浜市

水産加工場の集積地を目指し、ようやく本格化しだした気仙沼市魚市場周辺のかさ上げ工事。日没になっても重機がうなりを上げていた=11日午後5時すぎ、宮城県気仙沼市一景島で

写真

 東日本大震災から二年が過ぎ、被災地で市街地の造成や防潮堤建設などの復興事業が本格化する中で、土不足が懸念されている。横浜市は二〇一三年度、復興事業に活用してもらおうと、公共工事から出る建設残土を宮城、福島両県の沿岸被災地に提供する方針を決めた。残土の広域支援の動きに、復興庁は「土不足の解消に有効な手だて」と期待している。 (中沢誠)

 被災した岩手、宮城、福島の三県では、沿岸部を中心に津波対策として、地盤のかさ上げや防潮堤の建設、港湾の補修などの復興事業が始まりつつある。今後、工事用に大量の土が、ますます必要となる。

 山を削って高台に集団移転する岩手県では残土が出るが、平地の多い宮城、福島両県は合わせて約八千八百万立方メートルの土(東京ドーム七十一杯分)が復興事業に必要と試算。そのうち両県で約三千三百万立方メートルの土不足が見込まれている。

 両県とも、震災がれきを活用したり、岩手県から残土を融通してもらったりすることを検討している。それでも足りなければ、県有地から土を採取する方針で、必要量を確保するのに懸命だ。

 横浜市の残土支援は、中区に同じ町名がある縁で交流が始まった宮城県山元町からの要望がきっかけ。町の半分が津波にのみ込まれた山元町は、内陸側に新たな市街地の造成を計画しており、大量の土が必要となる。

 工事の多い首都圏の建設残土については、有効利用のため、国が他県の工事への転用を勧めてきた経緯がある。横浜市でも震災前から他県に残土を提供してきた。

 横浜市は、山元町のほか、同町に隣接する福島県新地町へも残土の提供を計画しており、関係機関と協議を進めている。山元町震災復興整備課の担当者は「町の復興に大いに助かる」と歓迎する。

 建設残土の処分に悩む首都圏の自治体にとっても、復興事業への活用はありがたい。復興庁の担当者は「運搬のコストや時間との兼ね合いで、自治体同士がどうマッチングできるかが課題」と話す。

 

この記事を印刷する





おすすめサイト

ads by adingo