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【千葉】

脱原発から反核へ 成田国際高校演劇部

本番に向けて詩の朗読を練習する部員ら=成田市の成田国際高校で

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 東日本大震災、東京電力福島第一原発事故を受けて一昨年、脱原発劇を創作した県立成田国際高校演劇部が、第二弾の「アトミック・エイジ・ブルース2」を準備している。成田市の同校文化ホールで三十一日に開催されるイベント「SHIFT from NUKES〜ヒバクシャを生まない世界へ〜」で披露する。(小沢伸介)

 一昨年の作品では、友人や博士との対話を通じて核反応の危険性などを学び、本当の幸福を探求する高校生を描いた。部員たちが福島からの転校生に体験談を聞き、被災地を訪問するなどして脚本を練り上げた。

 宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」を土台にしており、友人の名はカムパネルラを連想させる。ただ、結末が死ではなく、友人が「実は存在しなかった」という形で締めくくった。

 部員で二年生の鈴木美樹さん(17)は「前回は、ただ思想を押しつけるみたいな感じになり、それ以上のことまで考えを広げられなかった」と反省を込めて振り返る。

 そこで新たに、放射性廃棄物の問題などを盛り込むほか、広島と長崎への原爆投下、死の灰を浴びた第五福竜丸など放射能被害全般を題材に加える。脱原発の理念とともに、情念を込めて死とも向き合う覚悟だ。

 第一弾の脚本づくりやせりふの多い役どころでの出演など、舞台で中心的な役割を担った元部長の阿部弘雅さん(18)は今春、大学に進学する。その卒業公演も兼ねており、今回の創作は阿部さんの強い思いから始まった。

 「僕の高校時代は、半分が震災と原発問題。前回は目の前の問題として距離感ゼロで入れ込んだ。今は薄れゆく感覚を取り戻し、被災地を思い続けるためにも演劇をしたい」と話す。

 イベントでは、福島で放射能汚染と向き合い暮らす人たちを追い掛けたドキュメンタリー映画「フクシマ2011 被曝(ひばく)に晒(さら)された人々の記録」の上映、広島原爆を題材にした井上ひさしさん作の二人芝居「父と暮せば」の上演、福島の詩人若松丈太郎さんの「神隠しされた街」の朗読もある。

 阿部さんと部員三人のほか、交流がある佐倉東高校演劇部卒業生らも友情出演する。

 顧問の伊三野友章教諭(50)は「一昨年にまいた種が成長して戻ってきた感覚。トータルで反核的な広がりを描くことができればいい」と期待している。

 イベントは三十一日午前十時開場。「フクシマ2011」(午前十時半〜正午)、「アトミック・エイジ・ブルース2」(午後零時四十五分〜二時十五分)、「父と暮せば」(同二時四十五分〜四時)。入場無料。

 問い合わせは同校=電0476(27)2610=へ。

 

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