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【社会】

センバツ初出場 いわき海星 所沢西高の吹奏楽部が応援

いわき海星高校の応援曲を練習する所沢西高校の吹奏楽部員たち=埼玉県所沢市で(上田融撮影)

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 第八十五回選抜高校野球大会に初出場する福島県立いわき海星高校(いわき市)を応援するため、埼玉県立所沢西高校(所沢市)の生徒約百人が甲子園球場に駆けつける。東日本大震災の津波でいわき海星の校舎が被災し、所沢西の生徒がボランティアに訪れたのが縁で交流を深めてきた。初戦の二十三日、所沢西の吹奏楽部員たちはアルプススタンドで友情の音色を響かせる。 (上田融)

 「いわき海星は校舎が津波に遭い、授業ができないままだ」。二〇一一年の夏、所沢西の倉川博教諭(53)はいわき市の地元ボランティアからこんな話を聞いた。生徒にボランティアを呼び掛けると約四十人が集まり、現地でがれきの撤去作業を手伝った。昨夏も約五十人が訪問し、生徒同士の親交を深めた。

 いわき海星から「演奏で支援を」と持ち掛けられたのは、困難な状況の克服などを加味して選出する二十一世紀枠での出場が決まった今年一月末だった。

 いわき海星はもともと水産高校で、音楽の授業もなければ、吹奏楽部もピアノもなく、音楽教師すらいなかった。

 まず、所沢西は甲子園で流すいわき海星の校歌を録音したCDを高野連に届けなければならなかったが、録音済みのCDも譜面も津波で流失していた。OBらが持っていた譜面の一部や、古い録音テープを探し出して、所沢西の音楽教諭が大急ぎで譜面を書き起こした。

 二月十一日から、吹奏楽部六十人以上が演奏の練習を始め、野球部員四十人が合唱に加わった。十四日にCDへの録音を済ませ、高野連に無事届けることができた。倉川教諭は「まさかボランティアから始まった交流で、自分たちがいわき海星の甲子園大会出場に関わることになるとは」と感慨深そうに話す。

 試合当日のアルプススタンドでは、大会行進曲の「花は咲く」や、福島出身のミュージシャンで結成している「猪苗代湖ズ」の「I love you&I need youふくしま」など復興ソングを演奏する予定だ。

 吹奏楽部の玉田尚子部長(17)は「私たちの演奏が選手のみんなに元気を与えられればうれしい」。本番に向け、部員たちも懸命に練習を重ねている。

 

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