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【東京】

福島の現実撮る 24日まで「原発震災」写真展

福島で撮影した作品を前に、訪れた人たちと「原発震災」を語る豊田直巳さん(中央)=練馬区の大泉学園ゆめりあギャラリーで

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 放射能で汚染された福島の姿を撮り続ける東村山市在住のフォトジャーナリスト豊田直巳さん(56)が、練馬区の大泉学園ゆめりあギャラリーで写真展「あの日から2年…終わらない原発震災の恐怖」を開いている。「除染という幻想のうえに語られる復興や帰郷は、まやかしではないのか」と語る豊田さんの写真は、美しい自然を遠い未来までむしばむ原発事故の罪深さを記録している。

 朝露を蓄えた一面の秋の草花が、陽を浴びてきらきらと光っている。福島県飯舘村前田地区で写された山間の風景。だが、ここからストロンチウムなどの放射性物質が検出されたという。撮影は福島第一原発の事故から半年後の二〇一一年九月二十四日。「見えない放射能をいかに撮るかが、私のテーマ」という豊田さんの作品を象徴する一枚だ。

 事故直後に福島に入り、放射能によって人々の生活が破壊されるさまを撮り続けてきた。廃業の危機に頭を抱えてしゃがみ込む酪農家。牛舎で餓死した何十頭もの牛。線量計をぶら下げてススキの穂の中を下校する小学生。家族と離れて仮設住宅で暮らすお年寄り。会場には約五十点の作品が並ぶ。

 「国は除染によって復興や帰郷が可能だと幻想を振りまくけど、十分な除染は不可能であり、新たな被ばく労働を生むだけだということを、多くの福島の人々は知っている」と豊田さんは言う。

 二十四日まで。訪れた人と豊田さんが作品を見ながら語り合う「ギャラリー・トーク」が、二十二日午後六時半、二十三日午後三時と同六時半、二十四日午後三時に予定されている。入場無料。 (佐藤敦)

 

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