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【放送芸能】

あの日を伝える3.11 震災特番 今年の視点

 来月十一日で東日本大震災から二年。テレビでは「あの日」を振り返り、被災地の「今」を伝える番組ももちろん大事だが、それらとはまた違う角度から、視聴者一人一人に震災について考えを深めてもらう特番も放送される。今年の震災特番の「視点」とは−。 (宮崎美紀子)

■TBS

 二十七日に放送する「緊急!池上彰と考える“巨大地震”…その時命を守るために」(午後7時)は、池上さんの解説を聞くだけではなく、一人一人に考えてもらうための特別番組。なぜ地震が起きるのか、予知は可能なのか、どう備えるべきか、素朴な疑問に答え、勘違いを正す。

 日本では、今この瞬間にも次の巨大地震が来るかもしれない。

 司会の池上さんは「また地震で大きな犠牲が出たら、メディアの負けだと思う。少しでも命を救うために何が必要か、メディアには伝える責任がある。地震や警報のメカニズムを知れば、五秒でもできることがある。家族みんなで見て、話し合える番組にしたい」。

 池上さんの原体験は、百人が津波で亡くなった一九八三年の日本海中部地震。秋田の加茂青砂海岸で津波にのまれた小学生たちの遺体を見て以来、「生放送中に地震が起きたら何を言えるか」考えてきたからこそ、「東日本大震災でメディアは、また負けた」と痛感させられた。

 南海トラフ地震で最悪三十二万人が死亡するという想定が発表されたことで、逃げ切れないと諦める人が出始めたことも懸念している。恐怖をあおらず、淡々と正確に伝えつつも、視聴者の意識を促す番組にしたいという。

 ときに人間は忘れやすい。「メディアの使命は、折に触れ対策と最新情報を伝えていくこと。地道で身近な取り組みですよね」

■フジ

 三月九日に放送する報道特番「0311、知られざる心の闘い」(午後1時半)は「心の復興」に焦点を当てたドキュメント。

 「阪神大震災では、二年目から、自殺、孤独死など震災関連死が増えた。東北もそうではないかと現地の人も専門家も心配している。心のケアは、これから迫り来る危機」。番組の岡田宏記チーフプロデューサーは、テーマに「心の復興」を選んだ理由を説明する。

 阪神大震災よりも深刻なのは、遺体が見つからず、死と直面できない人がいること。一方で、心のケアへの意識、研究は以前よりも進んできたという事実もあるという。

 心の問題は一人一人異なり、治療法も一通りではない。津波で父を失った女性は、あえて体験を書き記し、記憶を整理していく。津波の恐怖を語れない幼い子どもは、絵を描くことで胸の奥に秘めていた傷を表に出していく。水への恐怖で風呂に入ることもできなくなった女性は、心療内科医と共に、海を見下ろす丘へと登り始める。番組では、このように心が再生していく過程を見せていく。

 「二年たち、被災地の人たちは置き去りにされたと感じている。いまだ苦境にある人たちの心の問題を知ってもらいたい。同時に、ストレスを抱える人が多い今、いろいろなケアの方法があることも分かってほしい」と岡田プロデューサーは話している。

 

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