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【東日本大震災】

復元一本松に歓声

幹上部に枝葉のレプリカが取り付けられる「奇跡の一本松」=6日午前、岩手県陸前高田市

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 東日本大震災の津波に耐えながらも、立ち枯れした岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」の最上部で、枝葉のレプリカの取り付け作業が六日午前あり、復元がほぼ終わった。

 作業を見守ろうと早朝から大勢の市民が訪れ、帰ってきた一本松の姿を見つめた。震災二年の十一日までに足場が外される。

 「お帰り、戻っできだな」「この枝ぶり、前と同じだっちゃ」。精巧に樹脂で再現された人工の枝葉が幹の上につり上げられ、高さ二十七メートルの大木がよみがえると、歓声が上がった。

 全長二キロの海岸線に七万本の松が群生した高田松原は津波で壊滅状態となった。その中でただ一本倒れなかった松は、復興の象徴となった。

 海水の影響で枯死したが、市は保存処理を決め、昨年九月に伐採。愛知県弥富市の製材業者で幹の芯をくりぬき、長野県宮田村で炭素繊維の補強材を作るなど、各地の技術を松のために結集した。

 一億五千万円という復元費用をめぐり、被災者から「松よりも人の生活再建を優先してほしい」という声もあった。

 松原の保存に取り組んできた「高田松原を守る会」の鈴木善久会長(68)は「復興が遅れていて、一本松が先行するのは心苦しい。だが松が戻ったということで、陸前高田を離れた人たちが帰ってくれば」と願った。

 

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