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【千葉】

知事選を前に 森田県政を診る(4) 苦戦続く航空貨物

航空貨物の積み込みや取りおろしの拠点となっている貨物ターミナル地区=成田空港で

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 今月九、十両日、成田空港の第5貨物ビルで引っ越し作業があった。日航が外国航空会社から受託する貨物の取り扱い拠点の一部で、平屋倉庫のほぼ半分(約一万平方メートル)が空っぽになった。

 そこは取り壊され、格安航空会社(LCC)専用ターミナルに生まれ変わる。年間二百四十五万トンの貨物処理能力が十万トン減るものの、昨年の実績は百九十五万トン。倉庫はまだ一割以上が空きだ。

 かつて貨物倉庫はフル稼働だった。「需要に追い付かせるような施設整備に追われる幸せな時代が続いた」と成田国際空港会社(NAA)貨物事業部の郡司文夫担当部長は言う。一九九〇年前後の十年間は、世界一の取扱量を誇っていた。

 だが、国内の景気悪化や世界的な金融危機などから、二〇〇四年の二百三十一万トンをピークに低迷。一一年は香港やソウルに大きく引き離され、世界七位で苦戦が続く。

 森田健作知事は再選出馬表明の記者会見で、成田空港の年間発着枠三十万回化を一期目の成果とし、「国際空港としていっそう活発化させたい」と述べた。現実はどうか。

 昨年の航空機発着回数は二十万八千七百四回で、開港後初めて二十万回を超えた。LCCの就航などで国内線が伸び、比較的好調な旅客便がこの背景にある。ただ、二十五万回から三月に二十七万回と段階的に増える発着枠に対し、実績が付いていくかどうかは分からない。

 空港周辺の物流企業には、貨物輸送も「今年後半から増えてくる」との予測もある。成田では一一年にポーラーエアカーゴとエバーグリーン航空、一二年にタイ航空と香港航空が新規参入するなど明るい材料もある。

 しかし、全日空が那覇空港を貨物輸送のアジアのハブ(結節点)と位置付け事業展開を始めたほか、フェデックスが関西空港を北太平洋地区のハブとする方針を決めるなど、気掛かりな動きもある。

 こうした貨物輸送の行方を気に掛ける周辺自治体もある。空港に近いのに関連施設が少ない多古町もその一つ。同町は、複数拠点に物流や航空関連の製造業誘致を目指す地域戦略構想をまとめ、成田市など空港西側地域に比べ、遅れを取り戻そうと力を入れる。成田の貨物輸送で地盤沈下が進めば、町の生き残り戦略にもかかわる。

 森田知事は、成田空港を「県内経済活性化の宝」と繰り返し、空港をテコにした地域の発展を唱えた。ただ、県などの投資はこれまで成田市など空港西側に偏ってきた。東側地域には「町だけの取り組みには限界もある」(多古町職員)と、県の支援を求める声も出ている。(小沢伸介)

 

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