インタビュー

22世紀奈佐の浜プロジェクト事務局長 森 一知さん

 伊勢湾流域から大量に漂着する答志島のごみを100年後にゼロに

 プロジェクト名の“奈佐の浜”とは三重県答志島にある砂浜のことです。伊勢湾には中部地区から様々なゴミが流れ出していて、そのゴミの多くが三重県答志島に漂着しています。

 このプロジェクトが立ち上がる以前から私は「コンビナートの街にアカウミガメを呼び戻そう」をテーマに、四日市ウミガメ保存会として、三重県四日市市の吉崎海岸で、毎月第一日曜日にごみ拾いをしています。2009年から始めて、今月でちょうど50回になりました。2010年の7月には、7年ぶりにアカウミガメが産卵しました。

漂着ごみで埋まる砂浜の現状を訴え

 しかし、どんなにゴミを拾ってきれいにしても、大雨の降った翌朝には、流木や廃プラなどのごみで海岸は埋まっていました。

 三重県が行った調査によると、潮流に乗って漂着する伊勢湾全体の漂着ごみは約12000トンで、そのうちの5000トンが鳥羽市に、そしてその半分以上が答志島に流れ着いているのです。答志島は、伊勢湾流域からの栄養分で、おいしい海苔が採れますが、ごみも一緒に流れ着いてしまうと海苔が一日でダメになってしまいます。酷いときには漁船を港から出せないぐらいにゴミが漂着します。それを知ってからは、砂浜に打ち上げられるゴミを拾うだけでは解決しないと思い、愛知、岐阜のシンポジウムなどに何度も参加して、砂浜の現状を伝え、ごみを捨てないでと訴えました。

奈佐の浜で行われた海岸清掃の様子

東海三県の環境団体などが結集

 昨年1月には、東海三県の環境団体など26団体が集まって「ごみと水を考える集い」が愛知県清須市で開催され、三県合同で答志島の奈佐の浜で清掃活動をすることが決まりました。そのために立ち上がった22世紀奈佐の浜プロジェクトは、奈佐の浜の漂着ごみを5年後に三分の一減、10年後に半減、100年後にゼロにするという目標を掲げています。昨年6月に行われた清掃活動には、三県の市民300人が参加しました。地元の人たちも手づくりの横断幕を掲げて歓迎してくれました。清掃活動は9月にも行いました。

間伐の丸太などの流木がごみの大半

 伊勢湾の漂着ごみの大半は流木です。間伐をしたまま放置された丸太が流れ着いたりするのです。海そのものではなく、山林を手入れすることが伊勢湾のゴミを少なくすることにもつながります。伊勢湾のゴミをゼロにする為には、海に隣接する地域だけではなく、内陸部や山間に住まわれている方の協力も必要です。このことを伊勢湾流域全体で考えてもらうために、毎年春には三県持ち回りでイベントを開催することにしており、今年6月には、岐阜県の郡上八幡の森林で作業を行う予定です。イベントを行うごとに予想以上の人が参加してくれています。

 地元の吉崎海岸では、毎月のごみ拾いの後に自然観察会や学習会をしていますが、いつか「今日はごみが落ちてないから、すぐに自然観察会をしよう」と言えるようになるのが僕の夢です。

中日新聞朝刊 平成25年2月20日付掲載

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