大きな通りや公園、橋など町のあちこちから東京スカイツリーが眺められる錦糸町かいわい。美しい切り子がズラリと並ぶすみだ江戸切子館では、亀甲や六角籠目といった伝統的な図柄のグラスに並んで、斜めのます目の幾何学模様のグラスもある。「これは東京スカイツリーのフレームを模様にしたものなんですよ」と店長の広田節子さん。「江戸切子の良さは使ってこそわかるもの。みなさんにもっと身近に感じていただけたら」

　同じ通りにあるすみだ珈琲では、丁寧にハンドドリップしたコーヒーが江戸切子のグラスで提供される。コーヒーがガラスに映り、一口飲むごとに微妙に異なる色が現れるのはなんとも粋。店の戸口にもさりげなく江戸切子があしらわれている。

　「北斎通り」と名付けられた通りにある北斎茶房は、自家製のあんこや黒蜜を使ったこだわりの甘味や和の料理が大人気。かつて革問屋だったという古い建物を改装した店内は、モダンなインテリアと古いガラス戸が調和し、居心地のよい空間を作り出している。

　東京スカイツリーのふもとには、おもちゃ箱をひっくり返したように楽しみがあちらこちらに散らばっている。（池沢なつ）