江戸時代は組屋敷があり、明治には斎藤茂吉が暮らした三筋。随筆『三筋町界隈(かいわい)』には街の移り変わりが描かれ、保育園の庭には街を詠んだ歌碑が立つ。
この辺りはカバン、帽子、アクセサリーなどの製造が盛んな地。「自転車で一回りすれば芯にする紙から革、のり、金具…と一通りの材料がそろいます」と江 戸袋物の職人、藤井直行さん。最近は若者からの注文も多く「先日はiPodのケースをこしらえました」とうれしそう。
廃校になった小島小学校は6年前、服飾雑貨デザイナーなどの創業を支援する施設になった。シュロは、その1期生で地元出身の宇南山加子さんが営む生活雑 貨店。「いろんな出会いを重ね、あらためて地場産業の良さに気づきました」という。最近では、自らがデザインし、缶や指し物などの職人に作ってもらったオ リジナル製品も店に並ぶ。
街の隠れた名物は、二つのもなか。吉岡堂の「峠もなか」は、京風かる焼きの皮がサクッと香ばしい。川柳発祥の地にちなんだ榮久堂の「柳多留もなか」は、 あんが牛皮に包まれモッチリ。どちらも手の込んだ逸品だ。ものづくりのまごころが、街の隅々に生きていた。(武居智子)
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