桜が美しい井の頭公園、闇市の面影を残すハーモニカ横丁、小さなカフェや雑貨店など魅力いっぱいの吉祥寺。「でも、店も人も多くて迷ってしまう」という人には「まち案内所」がおススメ。マップも豊富で散策の手ほどきもしてくれる。

　昭和の街を写したハガキがあると教えてもらい「らかんスタジオ」へ。「戦前から活気ある街です。人が人を呼ぶのでしょう。ここ数年で中道通りもにぎわい を増し、店主の顔が見える店がそろっています」と約５０年間、街を撮り続けている会長の鈴木育男さん。

　その中道通りで話題を集めているのが「おちゃらか」。ソムリエのステファン・ダントンさんが開いた日本茶専門店だ。「コミュニティーがあり、自分の色も 出せる街。ここを拠点に母国フランスや世界へ日本茶を広めたい」と夢を語る。通りから住宅街へ入ると、街の若者にもなじみの銭湯「弁天湯」。「ここのお湯 で足腰もほらこの通り」と笑顔をみせる８０歳過ぎの常連さんは、らかんスタジオのハガキに写る、かつて駅前にあった鶏卵専門店のおかみさん。

　こだわりを大事にする店を、街を愛する人たちが支えている。人々の息吹が、春の街に豊かな彩りを添えていた。（武居智子）