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【社会】

51〜65年日韓正常化交渉 日本、竹島問題後回し 墨塗り外し文書開示

 外務省が、一九五一〜六五年に行われた日韓国交正常化交渉をめぐる外交文書について、従来墨塗りをしていた部分も公開し、市民団体の「日韓会談文書・全面公開を求める会」に開示したことが分かった。島根県・竹島(韓国名・独島)をめぐる日本政府の立場や、韓国に対する戦後処理の算定根拠に関する記述も含まれており、日韓関係の研究に影響を与えそうだ。 (編集委員・五味洋治)

 新たに公開された部分には、竹島に関し「日本海の孤島で、アシカの数が減少した現在、経済的にはあまり大きな意義を有しないとみられる」との日本外務省の見解を示す記述があった。日韓国交正常化を優先するため、竹島問題を後回しにした政府の姿勢が分かる。

 また、日本は六五年の日韓請求権・経済協力協定により、韓国に五億ドルの経済協力を実施。日韓間の財産・請求権問題を解決したが、当時の大蔵省と外務省がそれぞれ積算した請求権の根拠や具体的な数字が分かった。

 日本側は郵便貯金、有価証券、未払い金、恩給など、植民地支配下の法律関係を前提とする支払いのみを想定し、強制動員に対する謝罪や賠償は計算に入れていなかった。

 この文書について、外務省は「北朝鮮との国交正常化交渉や、竹島問題などに関する韓国との交渉上不利益になる」などと、一部を不開示としてきた。これに対し全面開示を求める訴訟が起こされ、不開示を違法だとする判決が昨年十月に東京地裁で出されている。

◆請求権の根拠判明

 「公開を求める会」共同代表の吉沢文寿新潟国際情報大教授(朝鮮現代史)の話 今回の公開は一歩前進だと思うが、これまで非公開とされたのは理解しがたい。一九六二年に当時の大平正芳官房長官が大蔵省と外務省に請求権の試算を指示し、大蔵省は一千六百万ドル、外務省は七千万ドルという数字を出したことは分かっていたが、その算出根拠が初めて分かった意味は大きい。

 

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