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『ゼロ・ダーク・サーティ』 ウサマ・ビンラディン殺害計画の真相

2013年02月12日

Jonathan Olley(c)2012 CTMG.All rights reserved
Jonathan Olley(c)2012 CTMG.All rights reserved

米国同時多発テロの首謀者であり、テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン殺害計画の真相を、国家の機密情報を入手し、さらに関係者からの入念な取材に基いて制作された…と言われる問題作。陣頭指揮を執ったCIAの女性分析官マヤを通して描いていく。

監督は、爆弾処理班が戦争という麻薬に酔いしれていくさまを写しだした『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグロー。彼女の戦争に対する視線はブレない。仲間を殺害され、巨額の予算をつぎ込みながらも成果が挙がらぬ焦りの中で、マヤもまた狂気をはらんでいく。

2011年5月にビンラディン殺害のニュースが流れた際、多くのメディアがなぜ生きて捕らえなかったのか?を指摘した。本作はその理由の一つを提示する。「ビンラディンを必ず殺す」。予告編の中でも使われているマヤのこのセリフが象徴するように、彼らは殺害を目的に作戦を実行していたことが明かされる。しかもマヤの意地と執念によって。

だが憎しみの連鎖は、悲劇しか生まないことは明らか。いまだアルカイダのテロ活動は止まない。そのことを強く印象付ける反戦映画である。★★★★☆(中山治美)

【データ】

監督:キャスリン・ビグロー

脚本:マーク・ボール

出演:ジェシカ・チャステイン、ジェイソン・クラーク

2月15日から全国公開