「大ヒット盤」シド『SID 10th Anniversary BEST』 聴きやすい初ベスト
2013年02月06日
シド『SID 10th Anniversary BEST』
4人組バンドの初ベスト。収録曲中シングルが半数以下なので、アルバム未体験の私には難しいかもと危惧したが、実際にはとても聴きやすい。
序盤6曲が『嘘』などのポップロック系、中盤6曲がやや過激な歌詞と演奏、終盤6曲が一旦クールダウンした状態から徐々に加速して『V.I.P』でクライマックスを迎えるという全体の構成が見事。年代順ではないため、初期のか細い声と、それと隣り合う近年のドラマチックな歌唱との落差に気づき、今後の活動がより楽しみになる。
食わず嫌いの方は中盤からがオススメ。ファルセットで始まる『ミルク』、女子ストーカーの切迫感がリアルな『妄想日記』『妄想日記2』、そして各パートが暴れまくる『眩暈』『S』と、創作熱量が半端ない。その一方で、軽やかにサビ頭の曲をこなせるのも彼らの魅力。
唯一の難点は、秘蔵映像特典が2種の限定盤に分岐していることだろうか。ともあれ、本作を聴けば音楽の様々な可能性に開眼するはず。
(キューンレコード・完全生産限定盤DVD付き4800円)=つのはず誠
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