国東半島・六郷満山に伝わる修験行事「峰入り」が、10年ぶりに今年3月30日から4月4日まで6日間の日程で行われた。
峰入りは、六郷満山の開祖・仁聞(にんもん)菩薩(ぼさつ)の境地を目指し、天台宗の僧侶が国東半島一帯に残る仁聞修行の地をたどる行事。養老年間 (717~724)に始まったとされ、中断と復興を繰り返しながら伝えられている。最近では1991年と2000年に行われた。
今回は、初日に御許山(おもとさん)(宇佐市)で開白(かいびゃく)護摩(ごま)をした後、2日目に熊野磨崖仏(まがいぶつ)(豊後高田市)を出発。白 装束にわらじ、錫杖(しゃくじょう)を持って各霊場を巡りながら、最終日の両子寺(国東市)まで計約150キロを歩く。
宇佐神宮の奥宮・大元神社がある御許山(647メートル)の頂に午後1時すぎ、ほら貝の音が鳴り響き、行者が勢ぞろい。同神宮の神職とともに神事をし、石光順照・六郷満山会長(大聖寺住職)が玉ぐしをささげた。経を唱えた後、境内に積まれた杉に火が付けられると、白煙が立ち込めた。
御許山で開白護摩を行うのは今回の峰入りが初めて。同山は八幡神が最初に現れたとされ、国東半島の六郷満山とのかかわりが深い聖地。これまでは参拝するだけだったが、護摩をたいて峰入り出発の報告と道中の安全を祈願した。この後、一行はふもとの宇佐神宮に参拝した。
国東半島の天台宗僧侶らによる修験行事「峰入り」は1日、道中で最大の難所とされる豊後高田市の無明(むみょう)橋を通り抜け、国東市内に入った。岩山などが多い険しい道のりだっただけに、行者の表情には疲労感も漂い始めた。
国東半島の天台宗僧侶らによる修験行事「峰入り」は2日、国東市の岩戸寺を出発して後半の道のりに入った。雨上がりで足場の悪い場所も多かったが、約130人の一般参加者を加えた一行は寒風の中、力強く歩き続け、丸小野寺まで市内の谷筋や山中を進んだ。
国東半島の天台宗僧侶らによる修験行事「峰入り」は3日、目的地の両子寺(国東市)に到着した。険しい岩山や道なき道を進み、5日間で約150キロを踏破した行者たちはすがすがしい笑顔を浮かべ、涙を流してたたえ合う姿もあった。