東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 神奈川 > 1月25日の記事一覧 > 記事

ここから本文

【神奈川】

アルジェリア事件 日揮本社 献花続く

献花台に花をささげる黒岩知事=西区の日揮本社で

写真

 アルジェリア人質事件で、九人の日本人の遺体と七人の生存者らを乗せた政府専用機が現地をたった二十四日も、プラント建設大手「日揮」本社(横浜市西区)の献花台には、犠牲者を知る人たちが次々と訪れ、テロに巻き込まれて非業の死を遂げた人々を悼んだ。日揮は同日夜、安否不明だった最後の日本人も死亡したと発表し、日本人犠牲者は十人になった。 (山本哲正、中山高志)

 死亡が伝えられた横須賀市の日揮社員前川秀海さんと、一九九〇年代後半にカタールで天然ガス処理プラントを手掛けた元三菱重工の玉那覇勇さん(73)は献花の後、「前川さんは本当に紳士で人格者だった」と惜しんだ。

 前川さんは、ガスプラント建設を統括する日揮側の責任者の一人だったという。三菱重工はタンクの設計から建設までを任され、玉那覇さんが責任者を務めた。

 玉那覇さんにとって忘れることのできないエピソードがある。三菱重工側が業務でトラブルを起こしたとき、玉那覇さんは「申し訳ない」と、前川さんにわびた。工事のストップまで覚悟したが、前川さんから「済んだことはもういいから、前に進もう。とにかく一緒にやりましょう」と逆に励まされた。

 「何が起きても人を責めない、前向きな人だ」と、感激した玉那覇さんは涙を流したという。

 「一緒に造ることができたプラントのガスが、今では日本でも発電に使われる。彼が道を開いたんです」

 日揮と関わりのある企業に勤め、海外勤務を経験した大川尚武さん(70)は「同じような仕事をしており、本当に残念」と語った。「民間企業も国のために海外進出しているのだから、政府は安全確保を民間任せにせず、しっかりした対応をとってほしい」と嘆いた。

 午後には、黒岩祐治知事と横浜市の林文子市長が相次いで訪れた。黒岩知事は「テロという最も憎むべき行為で命を落とし、さぞかし無念だったと思う」と語気を強めた。

 林市長は「優秀な社員が世界に向けて貢献しようと厳しい仕事を続けられたのに…こんな非道なことはない。怒りもいっぱいだが、ただもう悔しさと悲しみでいっぱいだ」と語った。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo