福島へ来てくれて、ありがとう。

学習支援ボランティアのスケジュール

8月19日
福島入り ビーンズふくしまにてオリエンテーション
8月20日
9時~11時 各仮設住宅で学習支援 13時~15時 体育館で運動・レクリエーション
8月21日
9時~11時 各仮設住宅で学習支援 13時~15時 体育館で運動・レクリエーション
8月22日
9時~11時 各仮設住宅で学習支援
8月23日
8時~16時 3つの仮設住宅合同で東北サファリパークへお楽しみ遠足
8月24日
午後から各仮設住宅でキャンドル作り~夕方よりキャンドルナイトでお別れ会

学習支援ボランティアで訪問した仮設住宅


東日本大震災から1年半、私たちにできること。

震災から1年半が経ちます。中日新聞では、この震災を風化させないために、被災地が求める支援に「私たちにできること」を見つけ、その支援を届ける活動に取り組み、紙面で紹介しています。

東京電力福島第一原発の事故で警戒区域に指定された浪江町の人たちが暮らす仮設住宅には、多くの子どもたちが生活しています。仮設住宅には十分な広さがなく、学習環境は良いとは言えません。自宅から避難所へ、避難所から仮設住宅への引っ越しで生活環境が目まぐるしく変化し、勉強に向き合う時間も限られていました。子どもたちの学力低下が懸念されています。今では、地元のNPO法人の指導で仮設の集会所で勉強会が行われ、少しずつ日常を取り戻しつつありますが、夏休み中は子どもたちの生活リズムを守る意味でも学習支援が求められ、ボランティアの必要性は高まります。また体を動かす場合も、放射線により外遊びが制限され、体育館などを利用しなければなりません。その時も一緒に過ごす大人の存在が必要です。

「私たちにできること―」。私たちは、仮設住宅に住む子どもたちのために、福島のNPO法人「ビーンズふくしま」の協力を得て、8月20日から24日までの期間、福島市内の仮設住宅2カ所と二本松市の仮設住宅へ、「学習支援ボランティア」へ行きました。ボランティア活動には名古屋と静岡の大学生が10名参加し、午前中の学習、午後の運動およびレクリエーションを行いました。

仮設住宅に暮らす子どもたちは、みんな元気でした。毎朝、集会所で多くの子どもたちが待っていてくれました。午後もみんなで体を動かしました。一週間はあっという間でした。名古屋、静岡から来た私たちに「遠くから来てくれてありがとう」「一緒に勉強してくれてありがとう」「また来てね」と言葉をくれました。こちらが元気をもらいました。

震災から1年半。何をすればいいのか、どうしたらいいのか。その答えは、誰にもわかりません。今回、被災地へ自分の足で向かった大学生たちが感じたこと、思ったことにそのヒントがあるかもしれません。

「また、福島へ来てください」今回出会ったすべての人から言われました。「来てくれるだけでいいんです」こんな言葉も聞かれました。被災地に行ってみることも、私たちにできる一つの支援であると思います。
被災地へ学習支援ボランティアに参加した大学生たちの活動を紹介します。

また、福島へ行くよ。

ボランティアに参加した学生たちの声です。

  • 静岡大学 農学部 4年 石丸 梢さん
    静岡大学
    農学部 4年
    石丸 梢さん
    心に残ったことは、一緒に勉強し、遊んだ子のお母さんが目に涙をうかべ私たちに、「一緒に遊んでくれてありがとうございました。毎日この子たちが『楽しかったよー!』って帰ってきてくれるのがとてもうれしかったです」と言われたことです。私はこれから、「福島を忘れないで!私は福島でこんなことをやってきたよ。あなたも行ってみようよ!」と呼びかけていきたいと思います。
  • 名古屋外国語大学 外国語学部 4年 石道 彩華さん
    名古屋外国語大学
    外国語学部 4年
    石道 彩華さん
    "仮設住宅の子どもたちとどう接すればいいか"と不安を感じていましたが、子どもたちは会った時からとても元気で、笑顔で迎えてくれました。逆にわたしがそのたくさんの笑顔から元気をもらいました。必ずまた子どもたちに会いに行きたいと思っています。そのために、いま自分たちに何ができるのか、何をしなければならないのか、について考えていきたいと思っています。
  • 静岡大学 教育学部 2年 宇田 哲也さん
    静岡大学
    教育学部 2年
    宇田 哲也さん
    元気で明るい子どもたちですが、震災や原発事故による落ち着かない生活が影響しているのか、物事に対する諦めが早い印象を受けました。これから彼らが成長していくなかで、震災を理由に、簡単に物事から逃げ出したり、放棄することがないことを願っています。そのために早く落ち着いた生活を取り戻してほしいです。今回のボランティアに参加して福島への愛着が芽生え、彼らの成長を見守りたいと思います。
  • 常葉学園大学 教育学部 2年 工藤 夏季さん
    常葉学園大学
    教育学部 2年
    工藤 夏季さん
    みんなで一緒に遊ぶときに、「前はサッカー好きだったけど、最近走ってないから好きじゃなくなった」といった言葉を聞いて、これが現実なのだとショックを受けました。外で遊ぶにも制限があり、体育館も借りる手続きをしなければ使えません。早く浪江町で暮らせるようになることを願うばかりです。私はそれまで、ボランティアを継続し、またあの子たちに会いに行きたいです。
  • 愛知県立芸術大学 美術学部 2年 黒田 愛美さん
    愛知県立芸術大学
    美術学部 2年
    黒田 愛美さん
    子どもたちの学習支援を通し、福島で過ごした一週間で感じたことは、福島の、東北の、日本の震災はまだまだ続いているということ。この小さなひとつの島国に住む、ひとりの人間として、考えるべき問題があること。そして、福島は温かくて、笑顔に溢れる素晴らしい土地だということ。心から、I LOVE ふくしま。
  • 名古屋大学 文学部 4年 杉崎 素子さん
    名古屋大学
    文学部 4年
    杉崎 素子さん
    普通の観光旅行でも支援のひとつとは思いますが、仮設住宅の生活を知ることはなく、仮設で暮らす人たちに思いを伝えることもできなかったでしょう。何かの役に立てればと思って参加しましたが、それ以上にたくさんのことを福島の人々から教わったように思います。子どもたちの元気さや人々の温かさに触れ、被災地の復興支援を続けていきたいという思いがより強くなりました。
  • 名古屋外国語大学 外国語学部 4年 玉井 裕美子さん
    名古屋外国語大学
    外国語学部 4年
    玉井 裕美子さん
    「矛盾しているかもしれないけど、風化して欲しくない。でも風評被害はなくしたい」と福島の方が言いました。この言葉が心に突き刺さりました。ボランティアに参加したことで終わりにせず、ここをスタートに改めて自分になにができるのか、被災地の方が何を求めているのか考えたいと思います。
  • 名古屋工業大学 工学部 4年 土川 舞さん
    名古屋工業大学
    工学部 4年
    土川 舞さん
    私たちが今回福島でしてきた支援は、とても微力であったと思います。しかし、子どもたちの「楽しかった」という言葉や、名古屋からきたことを話したときの「遠くからありがとう」の笑顔をもらえたので、行って良かったと思います。また皆に会いに遊びに行きたいと思います。
  • 静岡大学 農学部 4年 畑山 真穂さん
    静岡大学
    農学部 4年
    畑山 真穂さん
    今回のプロジェクトは私にとって、福島の子どもたちや震災で影響を受けた人とのつながり、被災地に関わって活動していくスタートになりました。強く思うのは、これ以上、今回関わった子どもたちの自信や将来の選択肢が減ることのないよう、私は行動していかなくてはならないということです。これからは被災地と歩んでいきます。
  • 南山大学 人文学部 3年 羽田 祐真さん
    南山大学
    人文学部 3年
    羽田 祐真さん
    今回のような「私たちにできること」を、継続していくことに大変意味があり、これからも、「私たちにできること」を考え、行動していくことが大事であると、私は思いました。私たちの住んでいる地域からでも、被災地の方々にできることは多くあると感じます。今冬に、今回のボランティアで感じたものを、少しでも名古屋の方々に伝えていこうと考えています。

読者の皆様から届いた福島の皆様へのメッセージをご紹介します。

※2012年3月、9月に中日新聞、東京新聞で募集