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【私説・論説室から】

「正当な選挙」とは何か

 国会議員の51%をわずか33%の有権者で選んでいる。逆に49%の議員は、67%の有権者で選ばれている。

 素朴に「不条理」という言葉が思い浮かぶのではないか。だが、これは日本の現実なのだ。参議院の選挙区選出議員に当てはめると、そんな結果になる。

 二〇一〇年の参院選で、選挙区選出議員は百四十六人いるが、51%にあたる七十四人を選んだのは、約三千四百三十六万人にすぎない。残りの約六千九百六十七万人は、七十二人の議員しか当選させることができなかったのだ。

 最大五倍もの「一票の格差」があった選挙を原告らは、こう読み解いている。

 憲法の前文には「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し(以下略)」と記されている。人口の少数派が多数の議員を選んでいることは、「正当な選挙」といえるだろうか。

 全国の高裁レベルでは、合憲、違憲、違憲状態と、まちまちの判断が出た。特筆されるのが、福岡高裁判決だ。都道府県単位の選挙区に対し、「憲法上の要請である投票価値の可能な限りでの平等の実現を妨げている」と述べた。

 一票は限りなく平等であってほしい。そうでないと、国会議員による多数決は、国民の多数意見を反映しなくなる。弁論は終わり、最高裁の判決を待つ。「正当な選挙」とは何かについて、真正面から応えるべきときだ。(桐山桂一)

 

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