東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 教育 > NIE > 記事

ここから本文

【NIE】

<学校と新聞>模擬投票  中高生も政治に関心を

 昨年十二月十六日の総選挙直前に本校で「未成年模擬投票」を行った。本校では中学一年から高校三年まで投票権をもつ。総選挙に出馬する各党のマニフェストを勉強し、総選挙と同じ雰囲気で投票する。二〇〇三年から大きな選挙の度に実施しており、今回で八回目だ。

 投票にあたっては、日ごろから新聞やニュースに目を向け、政党の主張などをよく理解し、考えることが必要。模擬投票の一週間前には、社会科教員らが発行する「社会科通信」で選挙特集号を組み、各党のマニフェストを解説するとともに、消費税や原発、TPPについても触れた。生徒たちはこれを投票日までに読み、家族や友だちと話し合い、支持する党を選ぶ。

 投票当日の朝。各クラスでは実際と同じ投票用紙が配布され、放課後に昇降口に設置された、これもまた本物の投票箱に投票する。本番さながらの雰囲気だ。

 投票用紙の横にはアンケート用紙。これは投票後に投票用紙から切り離して回収。その結果は「政党を選ぶのが大変だった」「将来に向けた練習ができた」などの感想が多かった。

 しかし高三にもなると「日本の将来を見据えて投票するのは本当に大変なことだと実感した」「未来を作るのは自分たちだという自覚が芽生えた」など、二年後に投票権を持つ年代ならではの感想もあった。

 消費税について中学生は「消費税を上げないでほしい」といった感想が多いが、高校生になると「消費税は下げてほしいが、このままでは経済が破たんする」「今は確実性がほしい。長年政権を担当している政党に入れた」といった現実的な感想も目立った。

 開票結果は自民党が最も多く29%、次いで民主党の21%、日本維新の会の19%。投票数は八百七十二(全生徒数は千四百二十六)で、投票率は61%。これまで70%を超えることが多かったが、今回は定期試験、合唱祭の練習などと重なったことが影響したようだ。

 日本では投票率の低下が問題視されている。このような取り組みが生徒たちの政治に対する関心を高め、政治に主体的に参加していく第一歩になってくれると期待している。(廣嶋伸道・芝浦工業大学柏中学高校教諭)

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo