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【社会】

「除染目標達成でも帰村せず」 飯舘村民の7割 アンケート

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 東京電力福島第一原発事故で全村避難した福島県飯舘村民を対象としたアンケートで、回答者の七割近くが、国が実施している除染の目標を達成しても帰村しないと考えていることが分かった。除染以上に避難先での生活再建支援を求める声が強く、除染と帰村を掲げる国や村の施策に影響を与えそうだ。 

 調査は昨年十月〜十二月、日本大の糸長浩司教授(環境建築学)らが中心になって実施した。選挙人名簿などを基に、二十歳以上の村民の旧住所に書類を郵送。転送先不明者らを除いた四千八百五十人のうち、28・2%に当たる千三百六十六人から回答を得た。

 どのような状態なら村に戻って暮らすかという質問に対し、国が平時の安全基準としている年間放射線量一ミリシーベルト未満が38・8%、同五ミリシーベルト未満が6・9%を占めた。数値に関係なく村には戻らないと答えた人(21・9%)を含めると、計67・6%に上った。

 国は、同村の面積の約七割を占める居住制限区域で、来年三月までに同二〇ミリシーベルト未満に下げることを除染目標としている。この基準を達成できたとしても、七割近くの人が村に戻らない可能性がある。

 村行政への要望についても、補償や賠償交渉が七割超で、徹底的な除染(49%)を上回った。

 「除染で本当に農業が再生できるとは思わない」(六十四歳の農業男性)、「現実を直視して、無駄な除染より賠償に資金を使うべきだ」(六十二歳男性)といった意見も寄せられた。

 

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