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【政治】

首相がこだわる教育、安全保障… 有識者会議次々に設立

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 安倍晋三首相は教育改革や集団的自衛権の行使、歴史認識の見直しなどの課題に関する有識者会議を続々と立ち上げる。思い入れのある政策について議論を繰り広げることで、実現に向け世論を盛り上げる狙いがある。ただ、安倍カラーが強い政策に対し、連立相手の公明党は慎重意見が根強い。首相は公明党との連携を優先し、結論は夏の参院選後に先送りする考えだ。 (大杉はるか)

 有識者会議の中でも早々に始動するのが教育再生実行会議だ。十五日には事務局が設置される。

 第一次安倍政権の教育再生会議の名前を変え、メンバーも刷新した。「新しい歴史教科書をつくる会」の会長を務めた八木秀次高崎経済大教授や作家の曽野綾子氏ら保守色の強い人選が目立つ。

 首相が「政権の大きな方針の一つ」と明言している集団的自衛権については、新たな有識者会議を置く。第一次安倍政権で設置された「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」は安倍首相退陣後、後継の福田内閣に行使を容認する提言を報告した。安倍首相は自ら報告を受け直し、提言内容を新会議であらためて検討したい意向だ。

 過去のアジア諸国に対する植民地支配と侵略を謝罪した「村山談話」に代わる「安倍談話」についても、歴史学者などを集めた有識者会議を設けて検討する方針だ。

 いずれの会議も有識者は首相の意向に沿った人選になる見通し。会議が始まれば「安倍カラー」に沿った議論になりそうだ。

 安倍政権の保守化を警戒する公明党は、首相の動きをけん制している。山口那津男代表は集団的自衛権の行使容認について「領土、領空、領海の外で武力行使を認めることにつながる」と懸念を示した。

 首相は、政権を安定させるため、今夏の参院選で勝利し、ねじれを解消することを重視している。選挙協力する公明党との良好な関係は欠かせないため、会議の運営で公明党に配慮せざるを得ない。

 首相の慎重姿勢の背景には、世論への配慮もある。首相は「『この政権はちょっと問題がある』と思われるだけで参院選は大敗する危険がある。薄氷を踏む思いで臨まなければいけない」と話す。

 首相周辺は「本当にやりたいことは参院選に勝ってから」と、参院選までは有識者による議論で世論の動向をうかがう構えだ。

 

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