仮想移動体通信事業者

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
MVNOから転送)
移動: 案内, 検索

仮想移動体通信事業者(かそういどうたいつうしんじぎょうしゃ、Mobile Virtual Network Operator, MVNO)は、携帯電話PHSなどの物理的な移動体回線網を自社では持たないで、実際に保有する他の事業者から借りて(再販を受けて)、自社ブランドで通信サービスを行う事業者のこと。対義語として、自社網をMVNO事業者に提供する側を、移動体通信事業者 (MNO)と呼ぶ。

かつてのアステルツーカーは自社の回線が及ばない地域などはNTT網やデジタルツーカーグループ(後のソフトバンクモバイルのうち、東名阪地域を除くエリア)などの他社の回線を利用していたが、この場合は含まない。イー・モバイルにおけるドコモローミングについても同様。

目次

[編集] 概略

OEM製品の、移動体通信サービス版ともいえる。サービス卸元の事業者としては、卸先の事業者の販売・営業体制を活用することができ、卸先の事業者にとっても、物理的な移動体回線網設備の負担なくサービスを提供できる。

また、両者間の契約形態(帯域貸しなどその他)から、同程度のサービスを、卸元よりも卸先が安価に提供することも多い。

[編集] 経緯

日本でのMVNO第一号は日本通信 b-mobile(ビーモバイル)。その後、他の企業も参入している。下記参照。

[編集] データ通信系

当初はウィルコムのPHS回線のMVNOが多かった(特記ない限り同社のMVNO)が、2008年からはNTTドコモイー・モバイルの回線を、2009年からはUQコミュニケーションズモバイルWiMAX網を利用したISPによるMVNOが増えている。

2001年10月にDDIポケット(現ウィルコム)のPHS網を借りて、年額制データ通信サービスを開始。日本でのMVNO第一号。
2008年6月 NTTドコモのFOMAFOMAハイスピード含む)網を利用したb-mobile3GでのMVNOをスタート。
2009年3月 NTTドコモFOMAハイスピード回線レイヤー2での初のMVNOサービスを開始
2009年6月 KDDI沖縄セルラー電話(各auブランド)3G回線レイヤー3でのMVNOサービスを開始
@nifty WiMAX - UQコミュニケーションズのモバイルWiMAX網を利用した定額制データ通信サービス
@nifty Mobile BB - イー・モバイルのEMモバイルブロードバンド網を利用した定額制及び準定額制データ通信サービス
@nifty Mobile P - ウィルコムのAIR-EDGEを利用した定額制データ通信サービス
Tikiモバイル 3G - NTTドコモのFOMAハイスピード網を使ったデータ通信サービス(日本通信との協業となる)
2011年3月22日より、Android端末をセットにしたTikiモバイル ANDも開始した。
IIJモバイル - NTTドコモ、イー・モバイルのHSDPA通信を利用した企業向けモバイルアクセス通信
ACCA mobile (D) - NTTドコモのFOMAハイスピード網を使ったデータ通信サービス。イー・モバイルのMVNOは現在受付中止
モバイルPCアクセス タイプD・モバイルPCアクセス タイプK・モバイルPCアクセス タイプW・モバイルPCアクセス タイプE
モバイル/リモートアクセス ドコモモデル
Arcstar IP-VPN モバイルアクセス
OCNモバイル - NTTドコモ網を使ったMVNO
OCNビジネスモバイル(d)
OCN高速モバイルEM - イーアクセス網を使ったMVNO
ぷららモバイル NTTドコモのFOMAハイスピード網を利用したMVNO 
ぷらら「高速モバイルオプション (EM)」イー・モバイルのEMモバイルブロードバンド網を利用したMVNO
BitWarp / bitwarp PDA
So-net モバイル 3G - So-net会員向けのNTTドコモのFOMAハイスピード網を使ったデータ通信サービス。光ポータブル(PWR-100F)や、ノートパソコン「VAIO type P」、などが対応。
BIGLOBE 3G - NTTドコモのFOMAハイスピード網を利用したMVNO
KWINS - ウィルコムのPHS回線
KWINS 3G - KDDI/沖縄セルラー電話(各auブランド)のCDMA 1X WIN
G-BOOK」シリーズ KDDI/沖縄セルラー電話(各auブランド)の通信網(CDMA 1X/1X WIN)を利用 主にカーナビへの情報配信
WILLCOM CORE 3G(NTTドコモのHSPA網(FOMAハイスピード)を利用したMVNO):同社のXGPサービス網 (WILLCOM CORE XGP) の繋ぎサービスであるため、最長で2012年12月までのサービスとなる予定であったが、WILLCOM CORE XGP事業を分離する方向で検討されているため、今後の展開は未定となる。HYBRID W-ZERO3のように、音声はWILLCOMのPHS、データ通信はWILLCOM CORE 3Gをつかうといった応用もされている。
WILLCOM CORE 3GソフトバンクモバイルのHSPA網(3G ハイスピード)を利用したMVNO):2010年10月より、WILLCOM CORE 3Gソフトバンクモバイル3G ハイスピード)網を利用したサービスが追加される。これに伴い、従前からのドコモ網を利用したサービスの新規受付は、2010年9月で終了となる。
みまもりほっとライン - (i-Potというひとり暮らしのお年寄り用の通信機能のついた電気ポットで、利用状況を親族にメールで通知する)NTTドコモのMVNO
eoモバイル - イーモバイルのEMモバイルブロードバンド網を利用(eo光ネットのオプション扱い)
Master's ONE セキュア・リモートアクセスサービス 定額FOMAデータ通信プラン - NTTドコモのFOMAハイスピード網を利用(日本通信の協力による)
edion KuaLnet - UQコミュニケーションズのモバイルWiMAX網を利用した定額制データ通信サービス(2009年10月22日からサービス開始)
データ定額ボーナスパック - イー・アクセスの回線を利用した定額サービスと、ソフトバンクモバイル自社網の従量制サービスをセットにしたもので、USIMカードを差し替えて利用する為、2枚のUSIMカードが付属している。そのためソフトバンクモバイルの純増数としてもカウントされる。
自社のULTRA SPEEDサービス開始後は、UIMカード1枚でEMOBILE G4サービスのデュアル利用が可能なサービスも開始されている。
2012年2月には、Wireless City PlanningのMVNOとして、AXGPデータ通信サービス「SoftBank 4G」を開始予定。
amobile - イー・モバイル網を利用したサービス、利用しない月は0円、利用した月は4,980円と言うサービス、機種はイー・モバイルのD26HWを使用、プロトコル制限等無く、災害など緊急時用として利用価値が高い。

クレジットカード支払い、銀行振込、コンビニエンスストア支払いが可能(2011年4月6日からサービス開始)

DIGIMAX - UQコミュニケーションズのモバイルWiMAX網を利用した定額制データ通信サービス(2009年11月1日からサービス開始)
NTTドコモ、FOMAハイスピード網を使い、「ベリーデータ定額 日本」というサービスを法人向けに展開。MiFiといわれるモバイルWiFiルータを使った定額通信サービスを2010年4月から展開している。
NTTドコモ、FOMAハイスピード網を使い、a2networkと同様MiFiといわれるモバイルWiFiルータを使った定額通信サービスを2010年6月から展開している。こちらは個人向けが中心となる。
NTTドコモ、FOMAハイスピード網を使い、「VECTANTセキュアモバイルアクセス」という定額での企業アクセス用の閉域IP接続サービスを展開している。
日本HPが発売するノートパソコンに、FOMAモジュールを搭載し、HP Mobile Broadbandという名称でNTTドコモのFOMAハイスピード網を利用した、プリペイド課金型SIMカードを販売している。また2010年11月には月額固定料金のモバイルWiFiルータの発売も開始している。
ドリーム・トレイン・インターネットがDTI ハイブリッドモバイルプランという名称で、2011年3月よりNTTコミュニケーションズの公衆無線LANとNTTドコモのFOMAハイスピード双方が利用できる、定額制データ通信サービスを開始。
NTTドコモのFOMAハイスピード網を使い、android OS搭載のRstreamA1というFoxconn製のスマートフォンIP電話対応のアプリケーションを搭載し、定額のデータ通信とIP電話のサービスの提供を行っている。2011年1月より提供開始。
NTTドコモのFOMAハイスピード網を使い、android搭載のスマートフォンIDEOS X5にIP電話対応のアプリケーションを搭載し、定額のデータ通信とIP電話のサービスの提供を行っている。2011年7月より提供開始。
UQコミュニケーションズのMVNOとして、自社のCDMA 1X WINとのデュアル通信形式にて、データ通信専用端末による+WiMAXサービスを開始。2011年には、スマートフォンとのデュアル通信サービスの提供も始めている。

[編集] 音声通話系

高級携帯電話 MVNO
VERTU Constellation

[編集] サービス終了または、事業撤退

インフォニックス社は複数のMVNO事業を展開していたが、初期投資がかさんだことによる資金ショートにより、一部の事業が清算となったため、セレクトモバイルを基盤とした以下のサービスは、基盤ごとKDDIに引き取られることとなった。[1]当面サービスは継続される予定と発表されている。

以下のサービスは事業継続のメリットがなくなったため、サービスを終了している。

  • ベネッセコーポレーションが、2010年2月9日より進研ゼミ会員を対象に、ソフトバンクテレコムをMVNEとし、ソフトバンクモバイルのMVNOによるサービス、「ベネッセモバイルFREO」の提供を開始。わずか1年後の2011年2月28日をもってサービス終了。
  • NOKIAの子会社で、高級携帯電話ブランドVERTU(ヴァーチュ)が2009年5月よりNTTドコモ網を利用しMVNOサービスを開始。銀座旗艦店をオープンさせ、"VERTU Club"といわれる、サービスを展開。端末はプラチナ宝石螺鈿をちりばめた職人手作りの携帯電話を利用し、電話やメールでホテルやレストラン、航空券の予約などを行えるコンシェルジュサービスを利用できる。またNTTドコモの国際ローミングサービスWORLD WINGも対応する[2]。携帯電話メーカが展開する日本初のMVNOだったが、スマートフォンの台頭などによるVERTU事業、さらにはノキアそのものの業績悪化に伴い、ドコモとの回線契約期限が切れる2011年8月31日をもってサービス終了。

なお、MVNOとは称していなかったが、現在で言うMVNOに近いものとして、次のサービスがあった。

  • YOZAN時代末期のアステル東京が2004年9月より「全国コールサービス」としてDDIポケット(当時)網に接続するサービスを開始したが、その実態はアステル電話機にDDIポケットの番号を書き込むというものであった(旧番号への着信は1ヶ月間無料で新番号に転送された)。これにより自社網は一切使えず、通話以外の機能は一切使えなかった。対象者は同年8月末時点での契約者に限られ、2005年3月に受付終了、同年11月30日にアステル東京自体がサービス終了した。同サービス利用者のウィルコムへの移行は番号変更なしでできた。

[編集] 海外での日本企業のMVNO事業

海外の通信キャリアとの契約を日本語で行う、日本語でのサポートを行う、また海外キャリアの通信環境で日本語表示の携帯電話や日本語でのメールを利用できるといったMVNO(一部取次ぎ、代理店)事業が近年開始されている。代表的なものを以下に記す。

アメリカ
ヨーロッパ・タイ・中国
韓国
  • NTTドコモが韓国KTF社(現・KT)と共同開発した技術で海外プラスナンバーといわれるものがある。これはNTTドコモのFOMAカードにKTの電話番号を書き込んで(遠隔登録含む)1枚のSIMカードに2番号をもたせるものとなる。韓国にいる間はKTの番号で通話ができるというもの。WORLD WING対応のドコモの携帯電話であれば利用が可能となる。同様にKTの利用者も日本で同様のサービスを受けることができる。

[編集] 参考

日本
  • 英国の企業・モベルコミュニケーションズリミテッドの日本支店が、英国・O2 UK, 米国・AT&Tモビリティ、中国・中国移動からMVNOで借り受け、日本人が海外に行った際に利用することを想定したSIMカード(端末とのセットもある)の提供を行っている。ちなみにニューヨークにある米国支店(モバル)は、ソフトバンクモバイルのMVNOとなっている関係で、日本支店が日本国内用として外国人向けにレンタル貸し出ししているのは、ソフトバンクモバイルのものとなっている。
  • 同様の事業は、日本企業ではテレコムスクエアジーエーピーなどが行っている。

[編集] 海外での外国企業の日本人向けMVNO事業

フランス

Transatel社がフランスにおいて、ブイグテレコムの回線を利用したMVNOブランド「eurokeitai」を在仏日本人に提供している。日本語対応の機種を購入することにより、日本語でのメールが可能。契約から解約まで日本語でサービスがうけられる。またeuro keitaiは日本への通話料が格安である。

アメリカ

ハナセル

イギリス

ハナセル

[編集] 脚注

[ヘルプ]

[編集] 関連項目

個人用ツール
名前空間
変種
操作
案内
ヘルプ
ツールボックス
他の言語